SEED学園編 PHASE−03
ショート25.
きもだめし、それはある意味「戦い」である
(SPさんのリクエスト)

その1.ミリィは家族旅行の為、欠席です

 (深夜。とある寺の墓地にて)

 ニコル(主催)「えー、それではただいまより、きもだめし大会を行います。参加者の皆さんは 
          クジを引いて、組み合わせを決めてください」

 組み合わせ結果は以下の通り
 キラ&カズイ
 カガリ&フレイ
 サイ&ラクス
 イザーク&アスラン
 ディアッカ&トール

 ニコル「微妙な組み合わせですねえ。どうなることやら……」


その2.キラ&カズイ・ご愁傷様です

 カズイ「うわあ! キ、キラ、今、何か足元を横切った!」
 キラ「落ち着きなよ、カズイ。ただの猫だよ。あ、ほら、社が見えてきた。あそこにあるお札を 
     持って帰ればいいんだよね。それじゃあ……」

 (お札に手を伸ばすキラ。と同時に、社の中から、カマを持った怪物が出現!)

 カズイ「!!!!!!!」(気絶)
 キラ「…………」
 怪物「ん? どうした、驚きのあまり声も出ないのか?」
 キラ「あ、その声はシャニ君だね。アルバイト?」
 シャニ「まあな、っておい。何で驚かないんだよ」
 キラ「……驚いているよ。違う意味で」

 (シャニの手にあるのは『鎌』ではなく、『お釜』)

 シャニ「うがーーーーっ! 公式サイトの後遺症がまだーーーーーっ!」
 キラ「もう訂正されたのに……」(涙)


その3.カガリ&フレイ・ある意味最強

 フレイ「ねえ、カガリ。最近、アスランとはどうなってるの?」
 カガリ「ど、どうって別に何もないけど……」
 フレイ「二人で旅行とか行かないの?」
 カガリ「! バ、バカ! そ、そんな恥ずかしい事が出来るか! …………そりゃ、行けたらい
      いなとは思っているけど……」
 フレイ「ちょっと無理よね。あんたたち、どっちも奥手だから」
 カガリ「そ、そういうフレイはどうなんだ? イザークとどこかに行っているのか?」
 フレイ「! な、何であいつの名前が出てくるのよ!」
 カガリ「何だ、二人は付き合っているんじゃないのか?」
 フレイ「違うわよ! 大体、何で私があんな銀髪オカッパ頭と……」

 (雑談に夢中になるあまり、オバケの仕掛けは完全に無視されてしまった)

 オルガ(脅かし役のアルバイト)「張り合いが無いというか、何と言うか……」
 クロト(オルガと同じ)「恋愛話している女に、怖いものはないって事か。次いこ、次」


その4.サイ&ラクス・見守っています

 サイ「あ、ラクスさん、足元に気をつけて」
 ラクス「ええ、ありがとうございます。お優しいんですね、サイさんは」
 サイ「キラに約束しましたからね。貴方を無事に連れ帰るって」
 ラクス「そうですか。それでは、よろしくお願いします」
 サイ「ええ。あ、社に着きましたよ。それじゃあ、このお札を……」

 (社の中から、シャニが変装した怪物が出現。今度はちゃんと『鎌』を持ってます)

 サイ「!」
 ラクス「まあ、怖い」
 シャニ「ふふふふふ……。さあ、この場を去れ。さもないと、その首を…」

 (その時、シャニのみぞおちに丸い球体がクリーンヒット)

 シャニ「ごほっ!」(シャニ、倒れる)
 ラクス「まあ、ピンクちゃん」
 ハロ「ラクス、ダイジョーブカ? ラクス、ハロガマモル!」
 ラクス「ありがとうございます、ピンクちゃん。さあ、サイさん。お札も取りましたし、ゴールに戻
      りましょう」
 サイ「は、はい……。けど、ハロ、妙にいいタイミングで出て来たな……」

 (二人の上空にはブラック塗装&暗視スコープ付きのトリィの姿が)

 ゴール地点のキラ「ほっ」


その5.イザーク&アスラン・普段大人しい人を怒らせると…

 イザーク「……なあ」
 アスラン「どうした?」
 イザーク「ひょっとして俺は、ニコルに嫌われているのか?」
 アスラン「なぜそう思うんだ?」
 イザーク「何となく、な。まあ確かに、この前あいつの弁当のデザートを横取りしたり、心当たり
       は少しあるが……」

 (イザークの通った後は、落とし穴やら鉄球やらがゴロゴロと)

 イザーク「ゴールに戻ったらニコルに謝るか、一発ドツくか、どっちがいいと思う?」
 アスラン「知らん。俺を巻き込むな」


その6.ディアッカ&トール・そろそろ決着をつけようか?

 ディアッカ「………………」
 トール「………………」

 (横目で睨みあう両雄)

 オルガ「な、何だ、このプレッシャーは?」
 クロト「こ、怖い……。これが『恐怖』というものか?」
 シャニ「静かな戦い。触らぬ神にタタリ無し……」



ショート26.
「鏡伝」キャラ参戦!

 ガーネット「ついに私たちも、ショートショートに出してもらえるのか。随分と待たされたな」
 アキナ「通常版はあくまでSEED本編を元にしたSSだから、私たちが出れるのは学園編だけ
      みたいだけど…」
 ガーネット「出番が無いよりはマシさ。で、私たちの配役はどうなっているんだい?」
 アキナ「ガーネットは三年生で、高等部の生徒会長。私はフレイやイザークと同じクラス…」
 ガーネット「……そうか。大変だな、アキナも」
 ルミナ「私とカノンは一歳年下だから、まだ中等部です」
 カノン「そんなの関係ないわよ。アスラン様のためなら、年の差だって、中等部と高等部の壁 
     だって、飛び越えてみせるわ!」
 エリナ「あんたならやりそうだわ……。あ、私は中等部の生徒会長です。実家が遠いので、イ
      ザークお兄ちゃんの家に下宿しています」
 ガーネット「ロディアやシャロン、ゴールド・ゴーストの連中はブルーコスモス学園か。まああっ 
        ちも、あの三人組だけじゃ生徒(コマ)不足だし、いいんじゃないの?」
 アキナ「その他の人たちも、おいおい紹介していきます…。でも、私たちが出て、みんな喜んで
      くれるのかしら…?」
 カノン「大丈夫よ、アキナ。少なくても…」
 ニコル「あ、いたいた。ガーネットさーん、お弁当作ってきたんですけど、一緒に食べません  
      か?」
 ガーネット「お、ありがとう、ニコル。いつもすまないね」
 ニコル「いやだなあ。それは言わない約束ですよ」

 (ラブラブな雰囲気と共に、ニコルとガーネット、退場)

 カノン「あの二人は嬉しくてたまらないみたいだから」
 アキナ「鏡伝本編以上にバカップルになりそうね…」



ショート27.
vsブルーコスモス学園・体育祭編
(ピンクトルマリンさんのリクエスト)

その1.諸刃の刃

 アズラエル「SEED学園との合同体育祭で我が校の優秀さを知らしめようというのは、いいア
         イデアだよ。けど、勝てるんだろうね?」
 サザーランド「ご心配には及びません。鏡伝キャラがこちらに加入してくれた事で、随分と使え
          る人材(コマ)が揃いましたから。ちなみに女性キャラを迎え入れるため、本日 
          より共学になりました」
 アズラエル「唐突だねえ。ま、生徒数が増えるから、いいけど」
 ロディア「クックックックッ……。ガーネット・バーネットめ、今までの借り、今日こそ返してやる 
       ぜ! 人をストーカー呼ばわりしやがって、絶対に許さねえ! 一発ぶん殴って、ニ 
       コルの目の前でキスしてやる! ギャハハハハハッ!」
 シャロン「頑張りましょう、ロディア様(ストーカーって、自覚症状が無いから怖いのよね。こん 
       なのに付き合いたくないけど、パパの会社の社長の息子だし、ガーネットやラクスに
       は個人的にも借りがあるし、せいぜい利用させてもらうわ)」
 レオン「よーし、お前ら。今日の体育祭で俺たち『ブルーコスモス学園不良同好会』(ゴールド・
      ゴースト)の名を世間に轟かせてやれ!」
 フォルド(特待生)「あれ? うちの会って、ケン玉同好会じゃなかったっけ?」
 オーマ「違うぞ、バカ。俺たちはキャンプファイヤー同好会だ」
 ギアボルト(特待生)「…………射的同好会じゃなかった?」
 サキ「色々な意味で勝ち目無さそうだから、帰ってもいいかしら?」
 アズラエル「教頭、このメンバーで本当に大丈夫なのかい?」
 サザーランド「……………」(ちょっと、いや、かなり不安)


その2.「開会」と書いて「出陣」と読む

 ガーネット「宣誓! 我々SEED学園生徒一同と!」
 オルガ(実は生徒会長)「ブルーコスモス学園生徒一同は!」
 ガーネット「己の技量と精神の限りを尽くして!」
 オルガ「正々堂々と戦い!」
 ガーネット「たとえ命を捨ててでも、確実に勝利を手にする事を!」
 オルガ「相手をぶっ殺す事を!」
 ガーネット&オルガ「誓います!」

 SEED学園生徒一同「って、おい! そしてブルコスの連中、普通に聞き流すなよ!」


その3.男子100メートル走

 (出場選手はキラ、アスラン、イザーク、オルガ、クロト、ロディア)

 アスラン「キラ、お互い頑張ろうな」
 キラ「ああ」
 イザーク「ふっ。悪いが、トップは俺が頂くぞ」
 クロト「はっ、何言ってんだか。俺の脚の速さを甘く見るなよ」
 ロディア「ガアアアアッ! なぜだ、なぜガーネットがいない! 俺はあいつと戦うためにここに
       いるのに!」
 オルガ「競技種目を確認しろ、バカが」
 ミリィ「位置について。よーい…………ドン!」

 (結果は1位キラ、2位アスラン、3位クロト、4位イザーク、5位オルガ、6位ロディア)

 ロディア「……ふん。俺はガーネットにさえ勝てれば、それでいいんだ。他の奴らに負けても、
       どうって事はないね」
 アズラエル「教頭。あのバカ、一週間給食抜き」
 (誰一人、異論無し)


その4.女子100メートル走

 (出場選手はカガリ、マユラ、ガーネット、シャロン、サキ、ギアボルト)

 ガーネット「さあて、女子バスケ部の一年生エースの実力、見せてもらうよ」
 カガリ「負けませんよ、先輩!」
 マユラ「私だって、頑張ります!」
 シャロン「あまり自信ないわね。サキ、ギアボルト、あんたたちに任せる」
 サキ「ちょっとシャロン、あんたそんな捨て鉢な事を…」
 ギアボルト「仕方がありません。シャロンさんは私たちの中で、一番鈍足ですから」
 シャロン「はっきり言うわね、ギアボルト。そこまで言うからには、あんた、絶対に勝ちなさい 
       よ」
 ギアボルト「やれるだけやってみます」

 ミリィ「位置について。よーい…………ドン!」

 (結果は1位ギアボルト、2位カガリ、3位ガーネット、4位サキ、5位マユラ、6位シャロン)

 ギアボルト「何か言う事は?」
 シャロン「…………今度、いちごみるくアメ、一袋おごるわ」
 ギアボルト「♪」
 サキ「どっちも単純ね」


その5.障害物競走

 (出場選手はディアッカ、イザーク、ニコル、クロト、シャニ、フォルド)

 第一の障害、梯子くぐり……難無くクリア
 第二の障害、粉の中の飴を口で探す……ニコルが手間取り、最下位に
 第三の障害、網くぐり……ここでイザークがトップに。続いてディアッカ、クロト、シャニ、フォル
                 ド。最下位はニコル。
 第四の障害、平均台渡り……シャニがイザークを抜いて、トップに。順位はシャニ、イザーク、
                   クロト、ディアッカ、フォルド、ニコル。
 最後の障害、SEED学園初等部の入試問題……トップ集団が手こずっている間にニコルが 
                               あっさりクリア。そのままゴール。

 イザーク(結局、最下位)「って、ちょっと待て! 何だ、最後の障害は! ト音記号だの、ヘ音
                 記号だの、俺の苦手な音楽関係の問題ばかりじゃないか! そん 
                 なの分かるか!」
 ディアッカ(5位でした)「落ち着け、イザーク。ミリィ、この障害を考えたのって、誰?」
 ミリィ「会長よ」
 イザーク&ディアッカ「…………恐るべし、バカップル」


その6.昼食

 ガーネット「午前中は、両校ほとんど互角か。勝負は午後からだね」
 ニコル「そうですね。それでは、僕の作ったお弁当で体力をつけてください」
 ラクス「キラもどうぞ。わたくしの作ったお弁当ですわ」
 キラ「あ、ありがとうラクス。嬉しいよ」
 カガリ「ア、アスラン……。ほら、弁当だ。作りすぎたから、お前にやるよ」
 アスラン「(苦笑しながら)ああ。ありがとう、カガリ」
 イザーク「これだけじゃ足りないな……。おい、フレイ。お前のハンバーグ、くれ」
 フレイ「な! 嫌よ、あんた午前中、ちっとも活躍してないじゃない! 働かざる者、食うべから
      ずよ」
 イザーク「何だと? 参加種目、全て予選落ちのくせして、言ってくれるじゃないか!」
 フレイ「小学校の音楽の問題に手こずっていた男が、偉そうな事言わないでよ!」
 イザーク「うっ!」(心の傷をえぐられた)
 ディアッカ「ミリィ、おかずの交換しないか?」
 トール「おいこら、勝手な事をするな! ミリィの手作り弁当は俺の物だ!」
 ディアッカ「お前こそ勝手な事を言うな! そろそろ本気で決着をつけて……」
 ミリィ「あのー、盛り上がっているところ悪いんだけど、私のお弁当、みんな冷凍食品なんだけ
     ど……」
 カノン「アーガイル先輩! 応援に来たんですけど、私たちと一緒にご飯食べませんか? 今
     なら、特等席としてお姉ちゃんの隣が空いてますよ!」
 ルミナ「カ、カノン!」
 サイ「あははは……。それじゃあ、ありがたく頂くよ」

 オルガ「何だか、あっちは華やかだな」
 クロト「一応、俺たちも彼女持ちなんだけど」
 シャニ「今は敵だからな。はあ……。SEED学園の女なんかと付き合うんじゃなかった」
 マユラ(オルガと付き合ってます)「へえ……」
 アサギ(クロトと付き合ってます)「それって……」
 ジュリ(シャニと付き合ってます)「本気で言ってるの?」
 オルガ&クロト&シャニ「!!!!!!」

 (三人とも引っぱたかれました。当然、三人娘からのプレゼント(手作り弁当)は無し)


その6.男女の有志による綱引き

 ディアッカ「よーし、ここでいいところを見せて、ミリィのハートをゲットしてやるぜ!」
 カガリ「張り切るのはいいが、あまり力みすぎるなよ。キラ、最後尾は任せるからな。踏ん張れ
      よ!」
 キラ「こっちは大丈夫。カガリたちこそ頑張って」
 カガリ「任せろ。三秒で片を付けてやる!」

 (だが、結果はブルーコスモス学園の圧勝)

 アズラエル「ほう、やるじゃないですか。特にオルガとシャニとクロト、眼の色が違う」
 サザーランド「そうですな。見事な活躍でした」
 アズラエル「けどさ、『失恋したばかりの男に敵はいない!』とか叫ぶのはやめてほしいね。恥
         ずかしいから」
 サザーランド「…………」(色んな意味で、少し涙を浮かべている)


その7.『学園』対抗リレー

 ガーネット「得点は一点差でブルコスがリードしているか……。けど、この対抗リレーさえ取れ
        ば、こっちの逆転勝ちだ! みんな、気合入れていくよ!」
 生徒一同「おおおおーーーーーーっ!!!!!」

 オルガ「よーし、このまま逃げ切るぞ。二度とデカいツラが出来ないよう、SEED学園の連中 
      に俺たちの力を思い知らせてやれ!」
 生徒一同「おおおおーーーーーーっ!!!!!」

 ミリィ「それではこれより最終競技、学園対抗リレーを行います。両学園の全生徒は、街中に
     設置されている各自のポイントに向かい、準備してください。……それでは、よーい、ス 
     タート!」(と同時に、SEED学園一番手のミリィ、全力疾走)

 アズラエル「……教頭」
 サザーランド「はっ」
 アズラエル「ブルーコスモス学園の生徒数は、何人だったかな?」
 サザーランド「五百八十六名です」
 アズラエル「SEED学園は?」
 サザーランド「高等部だけで、我が校のおよそ三倍です」
 アズラエル「それは凄い。で…いつ終わるんだろうね、このリレー?」
 サザーランド「さあ? 両校の生徒、全員参加ですからねえ」

 (競技開始から、既に三時間が経過しています)


その8「閉会」と書いて「祭りの終わり」と読む

 (結局、リレーは最終ランナー同士の対決となり、イザークがクロトを抜いてゴールしました。こ
  の結果、SEED学園の勝利が決定。そして翌日)

 ムウ「よお、みんなおはよう! 今日も張り切って授業を……って、誰もいない」

 (SEED学園の全生徒、筋肉痛でダウン)

 ムウ「何だ、何だ。みんなだらしが無い。たかが十キロ走ったくらいで動けなくなるとは。将来 
     が思いやられるな」

 (一方、生徒数の差からSEED側の三倍の距離を走らされたブルーコスモス学園も、生徒全
  員、欠席)

 アズラエル「サザーランド。君の減俸期間、三ヶ月延長」
 サザーランド「私のせいなんですか!?」
 (違うけど、反論は無意味です)



ショート28.
トール、お前、まさか…!

その1.衝撃

 ディアッカ「くそっ! もたもたしている間にニコルとサイの奴まで彼女持ちになるとは……。マ
        ズい、マズいぞ。このままだと俺一人だけ、恋人のいない寂しい学園生活を過ごす
        事になる!」
 カズイ「あの、僕も彼女いないんだけど……」
 ディアッカ「(無視)けど、ミリィの奴、はっきり言ってくれないしなあ……。こうなったら、トール 
        の奴を呼び出して、きっちり決着をつけるか」
 カズイ「その必要は無いと思うよ」
 ディアッカ「? どうして?」
 カズイ「だってトール、彼女が出来たって噂だよ」
 ディアッカ「えっ!?」
 カズイ「それも二人」
 ディアッカ「!!!!!!!」(男としての敗北感)


その2.誤解

 (トールの家への帰り道で待ち伏せするディアッカ)

 ディアッカ「信じられん……。あのトールがミリィ以外の女とくっつくとは……。しかも二人もだ 
        と? そんな羨ましい事を…いやいや、そんな大それた事をあの真面目だけが取 
        り得のトールに出来るはずが無い。やはりここは、自分の眼で確かめ……。お、来
        た来た」

 (物陰に隠れ、トールの様子を伺うディアッカ。トールは二人の女性と手を繋いで歩いている)

 トール「それじゃあ、ここでお別れだ。二人とも、気を付けて帰るんだよ」
 エル「うん、ありがとう、トールお兄ちゃん」
 ルー「どうも、ありがとうございました」(ペコリと頭を下げる)
 トール「ああ。それじゃあ、さようなら。また明日ね」
 エル&ルー「バイバーイ! またあしたー!」

 (元気良く去っていく二人の少女。それを笑顔で見送るトール)

 ディアッカ「トール……」
 トール「うわっ! って、ディアッカ、何でこんな所に?」
 ディアッカ「いくらミリィに振り向いてもらえないとはいえ……。まあ、他人の趣味にとやかく言え
        るほど、俺も立派な人間じゃない。けど、これだけは言わせてくれ」
 トール「?」
 ディアッカ「ロリコンは程々にな」
 トール「! 違う! 断じて違う!」


その3.馬鹿

 トール「……と言うわけだ。分かったか?」
 ディアッカ「なるほど。あのルーって子は、お前が初等部でお世話になった先生の娘さんで、エ
        ルって子はその友達だと」
 トール「そうだ。普段は先生の奥さんが送り迎えをしてるんだけど、今、風邪で寝込んでいるん
      だよ。だから…」
 ディアッカ「話を聞いて、わざわざ志願したわけか。なるほど、お前らしいな。にしても残念だ 
        な。お前がロリコンになってくれれば、俺も遠慮なくミリィとくっつけたのに」
 トール「そうはいくか。ミリィは僕が恋人にするんだ」
 ディアッカ「言ってろ。ところで…」
 トール「ん?」
 ディアッカ「あの二人の声を聞いてると、ミリィとダブらないか?」
 トール「ああ。良く似ているな」
 ディアッカ「将来はミリィみたいな美人になるかもしれないな」
 トール「そうかもな。今も結構、可愛いし……」
 ディアッカ「…………」
 トール「…………」
 ディアッカ「光源氏、って手もあるな」
 トール「男の夢だな」

 (二人、恍惚の表情を浮かべる)



ショート29.
馴れ初め(本当に何をやったんだろう?byキラ)

 アスラン「なあ、ニコル。お前とガーネット会長って、どうやって知り合ったんだ?」
 ニコル「一月前、僕が不良にからまれているところを助けてもらったんです。凄かったですよ、
      会長。十人以上の不良たちをパッタバッタとなぎ倒して……。カッコ良かったなあ」
 キラ「ふうん。で、その後、意気投合して、付き合うようになったんだ」
 ニコル「ええ、そうです。凄く気が合うんですよ。僕にとっては、運命の女神様ですね」
 アスラン「凄いノロケだな……。ところでニコル」
 ニコル「何ですか?」
 アスラン「今の話、俺は十人以上の不良にからまれるような事をやっていたお前の方が気に 
       なるんだが」
 ニコル「あははははは」
 アスラン「笑って誤魔化すな」



ショート30.
「ミスコンは奴隷売買に似ているから反対」と言う人がいますが
……それはちょっと違うでしょ。奴隷は「強制」、けどミスコンは
「自主的に参加」ですから。
(ymaさんのリクエスト)

その1.ヤバ過ぎる……!

 ディアッカ「おい、一体どこのどいつだ。うちとブルコスの女子を合わせて、合同ミスコンをやろ
        うなんて言い出したのは!」
 クロト「少なくとも、僕じゃないよ」
 オルガ「俺も違うぞ」
 クルーゼ「我々、教職員でもない。もし我々ならば、教職員まで対象にするような愚行はせん 
        よ」
 バルトフェルド「自殺願望は無いし、職場を破壊されたくもないんでね」
 イザーク「それはそうだな」
 アスラン「まあ、やると決まったからには仕方がない。せめて火の粉がこちらに飛ばないように
       しよう」
 キラ「アスラン……。それは絶対に無理だと思うよ」
 ニコル「取り合えず、皆さん、当日は保険証を携帯しておいた方がいいと思いますよ」
 一同「それは当然!」
 ニコル「……ですね。ええ、本当に」


その2.本編ショート12を参照(元祖ミスですから)

 (ミスコン当日。会場は熱気に包まれながらも、少し冷たい空気が漂っている……)

 トール(司会進行役)「さあ、それではいよいよ始まります、SEED学園とブルーコスモス学園 
               の共同イベント、両校のミス学園コンテスト、本選の始まりです! 厳し
               い書類審査を勝ち抜いた十名の美女たちをご紹介します!」

 (トールに呼ばれ、舞台上に姿を現す十人の美女。その面々は…)

 ラクス「皆様の声援にお答えできるよう、一生懸命やらせていただきますわ」
 カガリ「うっ……。が、頑張る!」(少し緊張している)
 フレイ「審査なんかしなくても、結果は分かりきってるわね。当然、私の優勝よ!」
 マリュー「女の魅力は年齢だけじゃないって事を、教えてあげるわ」
 ナタル「ラミアス先生、ノリノリですね……。まあ私も、やるからには手を抜きませんが」
 ガーネット「ふーん。みんな、結構やる気だね。ま、その方が楽しめるけど」
 ミリィ「うっ、予想以上に濃いメンバーだわ……。けど、負けない!」
 シャロン「……笑えなくなった私だけど、ミスに選ばれれば笑顔を取り戻せるかも…」
 サキ「情報分析の結果、私の勝率は70パーセント。勝てる!」

 キラのお母さん「あの………どうして私がここにいるのでしょう? それに私、結婚しているの
           に、『ミス』コンに出てもいいのかしら?」
 全員「気にするな! 管理人の趣味だ!」


その3.第一次審査……特技を披露してください(点数は10人の審査員の合計
得点です)

 ラクス……明るい歌声で観客を魅了する。95点。
 カガリ……簡単な、けれど迫力満点のアクションを披露。90点。
 フレイ……寸劇で、演劇部の一年生スターとしての実力を見せる。88点。
 マリュー……学生時代、チアリーディング部の部長でした。バトンを巧みに操る。85点。
 ナタル……即興でイラストを描く。85点。
 ガーネット……古流武術の演舞を披露する。90点。
 ミリィ……早口言葉を連続で、完璧に唱える。92点。
 シャロン……ラクスと同じく歌を唄う。こちらは悲しげなバラード調。84点。
 サキ……得意のムチで、空を飛ぶ小鳥を落とす。89点。
 キラの母……円周率を千ケタまで記憶していた。92点。

 キラ(審査員・学生代表)「自分の母親を審査するのって、何か嫌だなあ……」
 アスラン(審査員・学生代表)「迂闊な点をつければ、今日の夕食に響くからな。それに…」

 (ステージの上で睨み合うラクスとキラの母。女のプライドを賭けて、両者、火花を散らす)

 アスラン「一足早く、嫁姑問題も勃発しているようだな」
 キラ「ううう……」


その4.第二次審査……美と知は表裏一体なのです

 トール「第二次審査は学力検定! 問題はSEED学園中等部の入試問題から選び抜いた難
      問ばかり! それでは、よーい、スタート!」

 ラクス、カガリ、ガーネット……実は女子トップクラスの好成績を誇る三人。高得点を獲得。
 フレイ、ミリィ……何とか70点代を獲得。
 マリュー、ナタル……教師の意地を見せました。両者とも90点代を獲得。
 シャロン、サキ……ブルーコスモス学園とは問題の系統が少し違ったため、苦戦。それでも8
             0点代を獲得しました。
 キラの母……家庭科とはいえ、さすがは教師。80点代でした。

 キラ「あれ? 何で、詳しい点数を出さないの?」
 アスラン(顔面蒼白で)「キラ、お前、早くもこの会場を血の海にする気か?」


その5.最終審査……水着審査の裏側で

 (控え室にて)

 カガリ「フ、フレイ、お前、ちょっと大胆過ぎないか…?」
 フレイ「そう? これくらい普通よ。ラクスだって、結構凄いの着てるじゃない」
 ラクス「わたくしは一番お気に入りの物を着ているだけですわ。大胆でも質素でも、自分に一 
     番似合う物を着るのが一番だと思いますけど」
 ガーネット「ラクスの言うとおりだね。まあ、何着たって、男共は鼻の下を伸ばすんだから、あ 
        んまり考え過ぎない方がいいよ」
 ミリィ「うーん、それは言えるかも……。水泳の授業の時の男子の眼って、ちょっと嫌らしいも 
     んね」
 サキ「SEED学園もそうなのか? うちだけかと思っていた」
 シャロン「ブルーコスモスは元男子校ですから、SEED学園より飢えているのかもしれません 
       けど」
 マリュー「う、飢えてるって……。最近の子は、凄い事を言うわね」
 ナタル「ラミアス先生、そういう言い方は自分が『オバサン世代』だと認めているようなものです
      よ」
 マリュー「うっ……」
 キラの母「まあまあ。みんないつかは年を取るものですし…」
 カガリ「…………」
 ラクス「? どうかなさいましたか、カガリさん?」
 カガリ「いや、なあフレイ」
 フレイ「何よ?」
 カガリ「お前……ちょっと太ったんじゃないか? お腹がちょっと出てるぞ」
 フレイ「!!!!!!!!」
 ミリィ「あ、ホントだ。大胆な服が裏目に出たわね」

 (結局、フレイは水着審査を棄権。大幅にポイントダウン)


その6.結果発表……地獄の始まり

 (全ての審査が終了。審査員協議室にて)

 クルーゼ「結果は……出るには出たが」
 ムウ「これを発表したら、どうなると思う?」
 オルガ「ミスに選ばれなかった女子全員によって、俺たち全員病院送りは間違いないな。クソ
      ッ、アズラエルも教頭も逃げやがって…!」
 アスラン「俺たちだけならいい。下手をすれば、この会場もろとも…」
 ニコル「消滅するかもしれませんね」
 バルトフェルド「いや、この町そのものが消えるかもしれんぞ」
 イザーク「あり得るな」
 シャニ「……怖いね」
 ディアッカ「家族を避難させれば良かったな……」
 一同「はーあ〜〜〜……」(深いため息)

 キラ『みんな、恐怖のあまり錯乱しているみたいだな。けど、満更デタラメでもないように聞こえ
     るんだよなあ……』


その7.大会終了……真・地獄の始まり

 (結局、ミスSEED&ブルーコスモス学園にはラクスが選ばれました)

 キラ「良かったね、ラクス」
 ラクス「ええ。これも皆さんの応援のおかげですわ」
 カガリ「あーあ、もうちょっとで優勝出来たのになあ……」
 アスラン「あのメンバーの中で2位なら立派だよ」
 フレイ「はあ……」
 イザーク「何、暗い顔してるんだ」
 フレイ「最下位……。私が最下位……。オバサン連中にまで負けたなんて……」
 イザーク「水着審査に出なかったお前が悪いんだろ」
 フレイ「何よ、人の気も知らないで!」
 ディアッカ「ミリィ、4位入賞、おめでとう」
 トール「おめでとう、ミリィ。彼氏として鼻が高いよ」
 ディアッカ「ちょっと待て。お前、聞き捨てならないことを言ってないか?」
 ミリィ「や、やめてよ、二人とも!」
 ニコル「ガーネット会長も3位入賞、おめでとうございます」
 ガーネット「1位になれなかったのは残念だけどね。まあ、素直に喜んでおくよ」
 女子一同「ところで、一つ聞きたいんだけど」
 男子一同「はい?」
 女子一同「(自分の彼氏に)あなたは誰に票を入れたの?」
 男子一同「…………」
 女子一同「どうして黙るの?」
 男子一同「い、いや、恋人がいる奴は、自分の恋人に入れてはいけないというルールがありま
        して……」
 女子一同「だから、誰に票を入れたの?」
 男子一同「……………………」

 (男子一同、全速でダッシュ)

 フレイ「あ、逃げた!」
 カガリ「追え!」

 (地獄の追撃戦、開始。結末は……取り合えず、この町は無事でした)



ショート31.
ちなみに『彼』の声は松本保典(キラパパ)さんです

その1.転校生

 ディアッカ「おい、イザーク。今朝、キラたちのクラスに転校生が来たそうだが、そいつ、かなり
        凄い奴らしいぜ。見に行かないか?」
 イザーク「ふん。まあ、退屈しのぎにはなるか」

 (二人、1−Aへ。こっそりと教室の中の様子を覗き見る)

 イザーク「で、その転校生はどこにいるんだ?」
 ディアッカ「かなり目立つ奴だから、すぐに分かるそうだけど……」
 イザーク「目立つって、髪でも染めているのか?」
 ディアッカ「そういう事じゃないらしい。ん、おい、あのキラの後ろの席に座っている奴じゃない
        のか?」
 イザーク「ほう?」

 キラ「どうしたの? あ、消しゴム忘れたんだね。僕のを貸してあげるよ」
 ストライク「済マナイ。恩ニ着ル」(ウィーンという機動音)
 イザーク&ディアッカ「ロボットッ!? しかも結構、カッコイイ声!」


その2.珍しい光景

 イザーク「い、いや、声はともかく、あれはどう見てもロボットだぞ! どうしてキラのクラスの連
       中は、みんな、平然としているんだ?」
 ディアッカ「見て見ぬ振りをしている様には見えないし……。ひょっとして、みんなあれがロボッ
        トだという事に気付いていないんじゃ……」
 イザーク「バカな! 体を動かす度にウィーン、っていうんだぞ! 声がコンピューター処理さ 
       れているんだぞ! 目がピカピカ光っているんだぞ! いくらキラやラクスが天然ボ
       ケなキャラでも、気付かないはずないだろ!」
 ディアッカ「そう、だよなあ……」
 ラクス「あの、ストライク様」
 ストライク「何デスカ、ラクスサン」
 ラクス「今朝、貴方がこのクラスに転校してきてから、わたくし、気になって気になって、仕方の
      ない事があるのです」
 イザーク「おお! ようやくツッコムのか!」
 ディアッカ「ラクス嬢がツッコミ役に回るとは、珍しい事もあるものだ」
 ラクス「ですが、こんな事を言えば、貴方が傷付くかもしれませんし、言うべきか言わざるべき
      か、授業中も悩んだのですが、貴方の為にも、きちんと言うべきなのではないかと思い
      まして……」
 ストライク「構イマセンヨ。ドウゾ何デモ気軽ニ言ッテクダサイ。俺タチハ友達ジャナイデスカ」
 ラクス「そうですか。それでは……」

 (ラクス、一息ついた後に)

 ラクス「ストライク様、ナイフを足に忍ばせるのは校則違反ですわ」
 ストライク「ア、ソウナンデスカ?」
 イザーク&ディアッカ「そっちかよ! って、危ない奴だな、あのロボット!」


その3.素晴らしい奴

 (談笑するキラ、ラクス、ストライク。その光景を覗き見るイザーク&ディアッカ)

 イザーク「くそ、どうして誰もあのロボットにツッコまないんだ! ええい、イライラする!」
 ディアッカ「落ち着け、イザーク。焦って動いたら、俺たちの負けだぞ」
 アスラン「何に負けるんだ?」
 イザーク&ディアッカ「!」
 カガリ「お前ら、こんな所で何をやってるんだ?」
 イザーク「お、お前たちこそ、どうしてこんな所にいるんだ?」
 アスラン「いや、キラたちのクラスに凄い転校生がやって来たと聞いてな。カガリと一緒に見に
       来たんだが…」

 (教室の中を見るアスランとカガリ)

 アスラン「! なっ、あ、あれは……」
 カガリ「お、おい、アスラン、あいつは…!」
 アスラン「ああ、間違いない。あいつは……」

 (アスランとカガリ、キラたちの教室に突入。ストライクの元にまっすぐ向かう)

 イザーク「おお、ようやくツッコんでくれる奴がいたか!」
 ディアッカ「頼むぞ、アスラン! 言ってくれ、はっきり言ってやってくれ!」
 アスラン「おい、お前!」
 ストライク「ハイ? 何デスカ?」
 アスラン「お前……」
 カガリ「お前は……」
 イザーク&ディアッカ「ゴクッ」(唾を飲む)
 アスラン「昨日、車に轢かれそうな子供を、身を挺して助けた奴じゃないか!」
 カガリ「あの子の両親が探していたぞ。会ってお礼がしたいって」
 イザーク&ディアッカ「ええーーーっ! ヒーロー扱い!?」


その4.友よ!

 ディアッカ「なあ、イザーク。俺は何だか、自分に自信が持てなくなってきたよ……」
 イザーク「? どういう事だ」
 ディアッカ「いや、ひょっとして、あのストライクって奴がロボットに見えるのは、俺たちだけじゃ
        ないのか?」
 イザーク「……つまり、キラやアスラン、いや、他の連中にはあのロボットが普通の高校生に 
       見えていると」
 ディアッカ「ああ。あいつは普通の人間で、おかしいのは俺たちなんじゃないのか?」
 イザーク「うーん……。そう言われれば、そんな気がしないでもない。ああいう高校生、玩具屋
       とかで見たような気がする……」
 ディアッカ「いや、それは高校生じゃないと思うぞ」
 フレイ「あんたたち、よそのクラスの前で何やってるのよ? もうすぐ授業が始まるわよ」
 イザーク「あ、フレイ。ちょうどいい、お前、あいつが何に見える?」
 フレイ「あいつ?」
 ディアッカ「キラたちのクラスにいる『あいつ』だよ」
 フレイ「? 『あいつ』って……キラたちと話をしている奴の事? 始めてみる顔ね」
 イザーク「転校生だ。お前、あいつがどう見える?」
 フレイ「どうって……」
 ディアッカ「いや、いいんだ。俺たちもそう見える。あいつが普通の高校生なのは分かってる。
        だからもういい、もう何も言わなくていい」
 フレイ「そう? 私は結構、変わった奴だと思うけど。ロボットの転校生なんて…」
 イザーク&ディアッカ「!!!!!!」
 フレイ「ちょっ、ちょっと、何で涙目になってるのよ? 私、何か変な事言った?」


その5.その理由

 フレイ「騒ぐほどの事じゃないわよ。この学校、ただでさえ変人揃いだもの。ロボットの一体や
      二体、転校して来ても驚かないわ」
 イザーク&ディアッカ「いや、それはやっぱり変だぞ。というか、お前がそれを言うのか?」



ショート32.
シナリオライターの苦悩
(ymaさんのリクエスト)

その1.声が似てると好みも似てる?

 (演劇部の部室にて)

 フレイ「うーん……うーん……」(ノートを前に、一人悩んでいる)
 ナタル(実は演劇部顧問)「どうした、フレイ・アルスター? 部活はもう終わっているぞ」
 フレイ「あ、先生。いえ、ちょっと困ってて……。来月の演劇部の発表会のシナリオを頼まれて
      いるんですけど、いいアイデアが出なくて……」
 ナタル「そうか。…………なら、こういうのはどうだ?」

 (ナタル、ポケットからメモを取り出し、フレイに見せる)

 ナタル「私の友人が書いたものなのだが、参考になれば…」
 フレイ(読み終えた後に)「……先生。それは嘘ですね」
 ナタル「なっ! なぜ…」
 フレイ「メモに名前が書いてあります。筆跡も先生のものだし」
 ナタル「!」
 フレイ「先生」
 ナタル「フ、フレイ、この事はみんなには内緒に…」
 フレイ(ガッチリとナタルの手を握り)「一生、付いていきます!」
 ナタル「えっ」

 (ナタルの作品は、バリバリのBL…ボーイズラブものでした)


その2.女性=BL好きとは限りません

 ガーネット「ん? フレイにナタル先生、何やってるんだ?」
 フレイ「あ、ガーネット。ちょうどいいわ、第三者の意見も聞きたいの。この脚本、どう思う?」
 ガーネット「脚本? ああ、今度の発表会のやつか。どれどれ……」

 (一読後)

 ガーネット「………………ボツ」
 フレイ&ナタル「! ど、どうして!?」
 ガーネット「私はホモネタは嫌いなんだ。それに……」
 フレイ&ナタル「?」
 ガーネット「観客たちの見ている前で、男同士の濃厚なキスシーンをやる役者なんて、いると 
        思うか?」
 フレイ&ナタル「あ」
 ガーネット「しかも、キャラの名前、そのままだし。キラとアスランのキスシーンなんて、私は見
        たくない」
 フレイ「じゃあ、ニコルとキラだったら?」
 ガーネット「…………殺すよ」
 フレイ&ナタル「ゴメンナサイ」


その3.よくありませんでした。劇の終了後、体育館裏でマジバトル

 ナタル「確かにガーネットの言うとおりだな。少々、趣味に走りすぎた」
 ガーネット「少々、ねえ……」
 フレイ「あーあ、最初からやり直しかあ。どうしよう?」
 ガーネット「そんなに悩む事じゃないと思うが」
 フレイ「何かいいアイデアがあるの?」
 ガーネット「ああ」

 (その後、フレイの書いた脚本は採用され、発表会は大成功。劇のタイトルは「とある銀髪オカ
  ッパ頭のおバカな日常」)

 ガーネット「事実は小説よりも奇なり、だ」
 ニコル「いいのかなあ……?」



ショート33.
美しさは罪……?
(加賀 誠さんのリクエスト)

その1.女たちの野望

 (とある一室にて)

 ラクス「ブルーコスモス学園の女子からも、OKの返事をもらいました。裏美人コンテスト(つま
      り女装コンテスト)の開催を宣言します」
 マユラ「やったーっ! 面白くなりそうね」
 アキナ「で、でも、ガーネットの承認は得ていないんでしょう? いいのかな…?」
 フレイ「言ったら、絶対に反対されるわよ。で、生徒会長権限で取り潰されるわ」
 カガリ「あいつ、こういうの嫌いだからな。面白そうだと思うんだが……」
 ジュリ「そうですね。じゃあ、会長には内緒ということで、こっそり準備しましょう。それで、参加
      メンバーは決まったの?」
 アルル「まだよ。けど、誰が出ても、凄い美人になりそう。ううん、絶対美人ね!」
 アサギ「うちは美形揃いだもんねー」
 イリア「そうね。カガリ様の言うとおり、面白くなりそう」
 フレイ「よーし、絶っっっっ対に成功させるわよ!」
 全員「おーーーーっ!!!!」

 SEED学園の男子一同「! な、何だ、今、凄まじい悪寒が……?」


その2.現生徒会長vs次期生徒会長

 ガーネット「ラクス。即刻、女装コンテストを中止しな」
 ラクス「あら、お姉様。藪から棒に、一体、何の事ですか?」
 ガーネット「とぼけるんじゃない。私の情報網を甘くみるなよ」
 ラクス「…………さすがですね。ですが、その申し出はお受けすることはできません。多くの 
      人々が楽しみにしているのですから」
 ガーネット「楽しみにしていない人々もいるんだけどねえ。大体、女装させられる方の承諾は 
        得たのかい?」
 ラクス「これからですわ。皆様、快いお返事が頂けるものと確信しています」
 ガーネット「ほう。その根拠は?」
 ラクス「特典その1。コンテストに参加してくださった方には、わたくしの直筆サインを一枚プレ
      ゼント」
 ガーネット「芸能人の特権を使っているねえ」
 ラクス「ええ。そして、特典その2。優勝者は、次回のSSで主役をもらえます」
 ガーネット「!」
 ラクス「管理人様にも承諾を頂きました」
 ガーネット「くっ、あのラクスファンめ!」

 (結果、世界の摂理を味方につけたラクスの勝利)

 ガーネット「いいだろう。今日のところは退いてやる。けど、必ずぶっ潰す……!」


その3.開幕!

 (ついに女装コンテスト、開幕。場所はSEED学園の体育館。入場できるのは女子のみ)

 アルル「結局、参加者は十人か……。もうちょっと、集まるかと思ったんだけど」
 ミリ「レギュラー陣のほとんどが拒否するとは思わなかったわ」
 カガリ「まあキラやアスランたちは、黙っていても出番があるからな。わざわざ女装しなくてもい
      いと考えたんだろう」
 フレイ「けど、地味〜〜〜な連中が出てもつまんないわよ。大丈夫なの?」
 ラクス「その点は大丈夫ですわ。書類審査できちんと選びましたから」
 カガリ「ふーん。じゃあ、期待するか」

 (選手、入場)

 女子一同「………………おお!」
 ミゲル「くっ、出番の為とはいえ、こんな恥ずかしい格好を……」
 ノイマン「文章なのが、せめてもの救いだな」
 クロト「絵付きだったら、さすがに耐えられないからな……」
 オルガ「ぶつくさ言うな。出番が欲しければ、笑顔を振りまけ!」
 ラスティ「うう……。俺、普通の顔も出ていないのに、こんな……」
 ロディア「あー、こうなったらヤケだ! 俺を見ろーーーっ! ギャハハハハハッ!」
 レオン「あいつ、人間捨てたな」
 ライズ「だが、間違ってはいない。俺たちも気合を入れるか」
 フォルド「くそっ! こうなったら絶対に優勝して、出番取ってやる!」
 シャニ「……………」
 オルガ「どうした、シャニ?」
 ミゲル「相当、ショックらしいな。そっとしといた方が……」
 シャニ「…………………うへ」(怪しい笑顔)
 一同「! 禁断の領域に入っちゃった?」


その4.ダークホース

 ラクス「あら? あと一人、足りませんわね。どうしたのでしょう?」
 ミリアリア「えーと、最後の一人は……あら? この男の人、どこかで見たような……」

 (最後の一人、入場。純白のパーティードレスに身を包んだ、絶世の美女、登場)

 女子一同「……………」(絶句)
 ラクス「…………やられましたわ。男子に変装してまでのその執念。さすがですわね、お姉様」
 ガーネット「まあね。女性が女装しても、問題は無いだろう?」
 ラクス「ええ、ルールには定めていませんでしたから。普段、男っぽいから、インパクトも倍で 
      すわね」

 (ガーネットは大量の票を獲得、見事に優勝しました)

 ニコル「僕も見たかったなあ……」


その5.ある種の有名税?

 ガーネット「女装コンテストに優勝してから、女子の眼が妙に熱っぽいんだよねえ……。どうし
        よう?」
 ラクス「知りませんわ」(ニッコリ笑顔)



ショート34.
女装コンテスト優勝記念・生徒会長の一日

その1.登校(ちなみに彼女のスリーサイズはトップモデル並です)

 (午前八時ごろ。大勢の生徒たちが行きかうSEED学園の通学路にて)

 キラ「あ、ガーネット会長。お早うございます」
 ガーネット「ああ、お早う。珍しいね、あんたがこんなに遅く来るなんて。今日はサッカー部の朝
        練は休みなのかい?」
 キラ「ええ。大会前の一休みです。会長はいつもこの時間に登校しているんですか?」
 ガーネット「そうだね。大体、この時間だね。六時半に起きて、顔を洗って、髪を整えて、朝食
        を食べて……。あ、キラ、朝食はちゃんと食べてるかい? いくら朝が忙しいから 
        って、エネルギーの補給はちゃんとしとかないとダメだよ」
 キラ「僕はちゃんと食べてますよ。そういう会長こそ、ちゃんと朝食食べているんですか? 女
     の人は、ダイエットとかで食事を抜く事も多いんじゃ……」
 ガーネット「いや、私、ダイエットとかした事ないから」

 (!!!!!!!)

 キラ『な、何だ? 今、周りにいる女子から、もの凄い殺気が……!?』
 ガーネット「?」(まったく気付いていない)


その2.午前の授業(このクセのせいで、彼女の通知表にはなかなか『5』が付
かない)

 (二時間目、ガーネットのクラスは数学の授業です)

 ガーネット『…………眠い。昨夜はちょっと夜更かしし過ぎたか。深夜番組って、ついつい見ち
        ゃうんだよなあ。深夜アニメは面白いのが多いし、海外ドラマとか、映画も侮れな
        い。特に危険なのは通販番組だね。あの、一歩間違えばギャグにもなるくらいに、
        と言うかギャグとしか思えないくらいにクド過ぎる商品紹介と、わざとらしい客たち
        の歓声が…』
 アデス(三年の数学教師)「歓声が何だというんだね?」
 ガーネット「いや、思わず爆笑するなあ、と。けど、深夜に大笑いするのは近所迷惑でしょう?
        だから必死に我慢して…………あっ」
 アデス「思った事を口に出すクセは改めた方がいいぞ。生徒会長」
 ガーネット「……気を付けます」
 アデス「廊下に立ってなさい」
 ガーネット「先生、一つ質問が」
 アデス「何だね?」
 ガーネット「長時間、廊下に立たせるというのも一種の体罰ではないでしょうか?」
 アデス「では、通知表の成績をオール2にした方がいいのかね?」
 ガーネット「遠慮します。あと、オール1にしない先生の優しさに感謝します」
 アデス「それはどうも。では、廊下に直行」
 ガーネット「はっ」(敬礼後、廊下へ)


その3.昼食(三大カップル集結!)

 (中庭で、ニコルやキラたちと共に昼食。ニコルとお互いの弁当のおかずを交換しています)

 ガーネット「うん、相変わらずニコルの料理は美味しいね」
 ニコル「ガーネットさんのお弁当も、すごく美味しいですよ。特にこの玉子焼きは凄いですね。
      余計な焦げ目は一切無く、味も甘すぎず辛すぎずで、本職顔負けですよ」
 ガーネット「それを言うならニコルだって、このサラダのドレッシングが…」
 ニコル「いえいえ、ガーネットさんこそ…」

 キラ「……この二人がくっつくまで、僕たちも『バカップル』ってからかわれてたけど…」
 ラクス「上には上がいるものですね。キラ、わたくしたちも頑張りましょう」
 アスラン「って、ラクス、何を頑張るつもりですか?」
 カガリ「アスラン……」(熱っぽい視線)
 アスラン「待て、カガリ、正気に戻れ!」


その4.授業後の生徒会特別会議(ブルーコスモス学園との合同文化祭につい
て、ブルコス側の代表と)

 ガーネット「それじゃあ、手筈どおり、よろしく頼む」
 オルガ「ああ。ゴールド・ゴーストやロディア、シャロンたちはこちらで押さえておく。あんたの邪
      魔はさせないよ」
 ガーネット「頼むよ。あいつらの相手をしている暇は無いからね」
 オルガ「ただ、これで借りが一つ」
 ガーネット「分かってる。報酬は払うよ」
 オルガ「それは何より。お互いの利益のために、事はスムーズに運びたいものだ」

 (ちなみにオルガへの報酬は、先日の合同体育祭以来、音信不通となっているマユラへの取
  り次ぎ。「女が何だ!」と誓い合ったクロトとシャニには内緒である)

 ガーネット「男の友情より、女の愛情か……。まあ、いいけど」

 (後日、クロトとシャニにバレて、オルガはボコボコにされました)


その5.下校(本当にどうしてなんだろう?byニコル)

 ニコル「ガーネットさん、お疲れ様です」
 ガーネット「ニコル、待っててくれたの?」
 ニコル「僕もちょうど今、部活が終わったところですから。これからどこかへ遊びに行きません
      か?」
 ガーネット「それって、デートのお誘い? いいよ、どうせ暇だしね」
 ニコル「ありがとうございます。それじゃあ…」
 ストライク「ア、会長、ニコル君。コンニチハ」
 ニコル「こんにちは。ストライクさんも今、お帰りですか?」
 ストライク「ウン。コレカラ家ニ帰ッテ、パパノ仕事ヲ手伝ウンダ」
 ガーネット「へえ、立派だねえ。親父さんは仕事、何やってるんだい? やっぱり機械関係?」
 ストライク「イエ、家ハ魚屋デス。新鮮ナ魚バカリデスヨ。良カッタラ、今度買ッテッテクダサイ」
 ガーネット「ああ、魚が食べたくなったら寄らせてもらうよ。じゃあね」
 ニコル「さようなら」
 ストライク「エエ、サヨウナラ」
 ガーネット「…………なあ、ニコル」
 ニコル「はい?」
 ガーネット「私、ストライクの親父さんの職業って、絶対に機械関係だと思ってたんだけど」
 ニコル「あ、それ、僕もです。どうしてそう思ったんでしょう?」
 ガーネット「さあ……?」

 (夕闇迫る中、真剣に悩むバカップル)


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