SEED学園編 PHASE−02
ショート11.
高等部へようこそ!

 キラ「いよいよ今日から、僕たちも高校生か。何だか、ドキドキするなあ……」
 ラクス「不安なのは分かりますけど、大丈夫ですわ、キラ。わたくしも一緒ですから」
 アスラン「いや、キラの気持ちは分かる。実際、俺も少し不安だからな」
 カガリ「そうなのか? 私は不安というより、ワクワクしているぞ」
 サイ「カガリはタフだね……」
 ミリアリア「まあ、カガリらしいといえば、らしいけど」
 カガリ「それって、褒めてるのか?」
 キラ「ははは、まあ、取り合えず…」

 一同「皆さん、高等部編もよろしくお願いします」
 (礼)



ショート12.
嵐を呼ぶクラス分け

 1−A(担任はマリュー)……キラ、ラクス
 1−D(担任はフラガ)……アスラン、カガリ、ディアッカ、ミリアリア
 1−F(担任はナタル)……サイ、カズイ、トール
 1−J(担任はクルーゼ)……フレイ、イザーク、ニコル

 キラ「みんなとは別のクラスか……。ちょっと寂しいな」
 ラクス「あら、キラ。わたくしと一緒のクラスは嫌なのですか?」
 キラ「あ、いや、そういう意味じゃ…!」
 ラクス「うふふ、冗談ですわ」
 ディアッカ「残念だったな、トール。俺とミリィは一緒のクラスで、仲良くさせてもらうぜ」
 トール「くっ……! アスラン、頼む! ミリィに悪い虫がつかないよう、見張ってくれ!」
 アスラン「あ、ああ、いや、それは……」
 カガリ「アスラン、やりたくないならハッキリ断ったほうがいいぞ」
 フレイ「はあ、ツイてないわね。この変態オカッパ頭と一緒のクラスだなんて…」
 イザーク「それはこっちのセリフだ。貴様みたいな性悪女と一緒のクラスとはな」
 フレイ「何ですって!」
 イザーク「何だ、やるのか?」
 ニコル「ま、まあまあ二人とも、落ち着いて…」
 サイ「この組み合わせだと、平穏無事で過ごせそうなのは、うちのクラスだけみたいだな」
 カズイ「それが一番だよ」
 サイ「けど、出番も少なくなりそうだけどな」
 カズイ「うっ……」(ちょっと困っている)



ショート13.
レッツ部活動!

その1.サッカー部

 キラ「あ、イザークもサッカー部に入るんだ」
 イザーク「当然だ。中等部では貴様にエースナンバーを取られたが、高等部ではそうはいかん
       ぞ。SEED学園のエースストライカーはこの俺だ! 新技も開発したからな」
 キラ「新技?」
 イザーク「おう! その名もアサルトシュラウドシュート! あまりの威力にゴールキーパーも吹
       き飛ばし、病院送りにする必殺シュートだ。名前が言いにくいのが欠点だが」
 キラ「へえ、凄いね。けど…」
 イザーク「けど?」
 キラ「相手選手を故意に病院送りにしたら、退場処分になるんじゃないかな?」
 イザーク「あ」
 (アサルトシュラウドシュート、永久に封印)


その2.バスケ部

 カガリ「アスランはやっぱりバスケ部か」
 アスラン「ああ。中等部と高等部、両方で全国制覇する事が夢だったからな」
 カガリ「アスランなら出来るさ。私は女子バスケ部だ。お互い、頑張ろうな」
 アスラン「ああ」
 カガリ「同じバスケ部だから、一緒の体育館で練習できるな」(ちょっと嬉しそう)
 アスラン「あれ? 知らなかったのか、カガリ」
 カガリ「?」
 アスラン「練習場は男子バスケ部は第一体育館、女子バスケ部は第二体育館だぞ。両方とも
       部員が多いからな」
 カガリ「……………うう」(ちょっと泣き顔)


その3.放送部

 (先輩たちの前で自己紹介)
 ミリアリア「ミリアリア・ハウです。アナウンサーを目指しています。新入部員で右も左も分から
        ない未熟者ですけど、よろしくお願いします」
 トール「トール・ケーニヒです。テニス部との掛け持ちですが、頑張りますのでよろしくお願いし
      ます」
 ディアッカ「ディアッカ・エルスマンです。弓道部との掛け持ちだけど、どうぞよろしく」
 トール「って、何でお前がここにいるんだ」
 ディアッカ「それはこっちのセリフだ。まったく、昔の女の後を追って、同じ部に入るとは、ストー
        カーみたいな事するなよ」
 トール「人をストーカー呼ばわりするな! お前だって同じようなものじゃないか。大体、ミリィ 
      が僕の『昔の女』ってどういう意味だよ。僕はミリィに振られた訳じゃないぞ!」
 ディアッカ「ああ、そうだったな。これから振られるんだ。で、ミリィは俺と付き合う、と」
 トール「勝手な事を言うな! ミリィは僕と…!」

 (以下、下らない口論が続く)

 ミリアリア『ああ、先輩たちの冷たい視線が……。いっそ、二人とも振った方がいいのかも』


その4.合唱部と楽器演奏部

 ニコル「あ、ラクスさん。合唱部に入られたそうですね」
 ラクス「ええ。歌う事は好きですから。ニコルさんは楽器演奏部でしたわね?」
 ニコル「はい。同じ音楽系の部活動ですから、ご一緒する機会もあると思いますが、その時は
      どうぞよろしく…」

 (その時、背後から冷たい視線)

 ニコル「!!!!」
 ラクス「あら? どうかなさいましたか?」
 ニコル「い、いえ、それじゃあ、僕はこれで!」

 (逃げ去るニコル)

 ラクス「どうしたのでしょぅ、急に……。あら、キラ。サッカー部の方は終わりましたの?」
 キラ「うん。今日は入部の手続きだけだったからね。これから電脳部の方にも行くから、もう少
     し待ってて」
 ラクス「ええ、お待ちしてますわ。けど、キラ」
 キラ「ん?」
 ラクス「わたくしの事を思ってくれるのは嬉しいのですが、あまり大人気ない真似はしないでく 
      ださいね」
 キラ「あ、あはははは……」


その5.演劇部と写真部

 (フレイが入部した演劇部、第三体育館で稽古中)

 フレイ「あら、サイ。カメラなんか持って、どうしたの?」
 サイ「ああ、俺、写真部に入部したんだ。それで先輩から、入部届代わりに何か一枚、面白い
     写真に撮ってこい、って言われてさ」
 フレイ「へえ。でも、残念だったわね。見ての通り、今日の演劇部は地味な稽古中よ。面白い
      写真は、ちょっと無理ね」
 サイ「ああ、知ってる。いいんだ、別に『演劇部』を撮りに来た訳じゃないから」
 フレイ「?」

 (数分後、イザーク登場。演劇部の部員を、自分の立ち上げた郷土資料研究会に勧誘するが
  フレイの妨害に合い、両者激突)

 サイ「うん。いい写真が撮れた」
 (サイ・アーガイル。いい意味でも悪い意味でも「成長」した男)


その6.帰宅部

 カズイ「出番を取るか、平穏無事な日常を取るか……。究極の選択だったけど、僕はこれでい
      いや」

 (ある意味、賢明な判断である)



ショート14.
学食にて

 (昼食、大混雑の学生食堂前)

 キラ「うわあ、凄い行列……。みんな殺気だっているし、ほとんど戦争だね」
 アスラン「空腹で気が立っているのは分かるが、もう少し落ち着いてほしいものだな」
 イザーク「落ち着けだと? その間に一番人気のカツカレー(300円、一日限定三十食)や焼
       肉丼(280円、一日限定四十食)が売り切れたらどうする? 貴様が責任を取るの
       か?」
 カガリ「何でお前の食い意地のために、アスランが責任を取るんだ。ふざけるな」
 キラ「それに、限定メニューって、カロリーが高いものばかりじゃないか。あんまり体に良くない
    よ。スポーツをやっているんだから、栄養の摂取には気を付けないと」
 イザーク「む……」

 (そうこうしている内に、キラたちの番が回ってきた。まずはキラ)

 食堂のおばちゃん「いらっしゃい。何にするんだい?」
 キラ「カツカレーと焼肉丼、それぞれ大盛りで。あと、デザートに栗きんとんをつけてください」
 イザーク「おい、ちょっと待て」
 おばちゃん「はい。これで限定メニユーは売り切れね」
 キラ「うん。いつも大体、この時間に売り切れるんだよね。狙い通りだ」
 イザーク「ちょっと待てえ、こらあっっ!」



ショート15.
vsブルーコスモス学園

その1.教頭先生の憂鬱

 (隣町にある私立ブルーコスモス学園。数年前までは、この国でも有数の進学校だったのだ 
  が……)

 アズラエル学園長「あの目障りなSEED学園が出来てから、我が校の生徒数は減る一方で 
             す。我々が生き延びるためには、SEED学園よりも我が校の方が優れて 
             いる事を証明する必要があります」
 サザーランド教頭「はあ……。ですが学園長、どうするおつもりですか?」
 アズラエル「SEED学園に文武両方での対校試合を申し込みます。そこでうちの生徒を『勝た
        せて』我が校の優秀さをアピールすれば、生徒数アップは間違いありません。教 
        頭、すぐに手配を」
 サザーランド「はっ、おおせのままに」(そんな事をするより、うちの生徒たちの教育に力を入 
         れた方がいいんじゃないかなあ。けど、この人、他人の足を引っ張ったり、陥れ
         たりするのが大好きだからなあ。結局、ただの趣味なんだろうなあと思いつつ、
         教頭、SEED学園に対校試合の申し込みをする)


その2.祭りだワッショイ…?

 (対校試合、当日。会場はSEED学園高等部の校庭)

 アズラエル「何だ、このバカ騒ぎは……」
 サザーランド「出店まで出てますねえ」
 シーゲル学園長「これはこれはアズラエル殿、SEED学園へようこそ。歓迎しますぞ」
 アズラエル「いえ。こちらこそ、いきなりの申し出を受けていただき、感謝しております」
 シーゲル「なあに、お祭りは賑やかな方が楽しいですからな。お互い、思う存分騒いで、楽しみ
       ましょう。それでは」

 (ニコニコ笑いながら、シーゲルが去る)

 アズラエル「……我々との対校試合が祭りだと? 随分と舐められたものですねえ」
 サザーランド「左様で。ここは一つ、我らブルーコスモスの力を思い知らせてやりましょう。オル
          ガ、シャニ、クロト。準備はいいか?」
 オルガ「ああ」
 クロト「任せてくださいよ、学園長。その代わり、一学期の成績の方はよろしく」
 シャニ「ふう。メンド臭いけど、みんなぶっ潰してやるよ」
 アズラエル「頼もしいですねえ。いいでしょう、お祭り気分を満喫しているバカ共に、勝負の厳 
         しさを教えてあげなさい。…………それはそうと」
 他一同「?」
 アズラエル「小腹が空きましたねえ」

 (ブルーコスモス一同、出店漁り開始。ものの十数分で全店制覇)

 サザーランド「学園長、お祭り好きだったんですね……」(そういう彼の手にも、イカ焼きと焼き
          とうもろこしが)


その3.ブルーコスモス学園は一応、進学校です

 (校庭の中心に作られた特設会場にて。観客は満員)

 ミリアリア(司会役)「さあ、SEED学園とブルーコスモス学園がお互いの親交を深めるための
             親交祭も、いよいよメインイベント! 両校の代表三名による、一対一の
             大勝負です!」
 アズラエル「親交祭だと? お互いの意志の疎通に問題があったようだな……。教頭、君はあ
        ちらに何と説明したのかね? 場合によっては減給処分も…」
 サザーランド「ま、まあ、よろしいではないですか。対校戦そのものはやるのですから」
 アズラエル「ふん。それで、競技の内容は、こちらの申し出どおりなのかね?」
 サザーランド「はい。その点は抜かりなく。オルガたち三人の最も得意とする競技です」
 ミリアリア「それでは第一試合! SEED学園の代表はキラ・ヤマト! ブルーコスモス学園の
        代表はオルガ・サブナック! 対決の内容は……手作り料理勝負です!」
 サザーランド「まずはこの試合を取ります。我が校一の料理名人、料理部部長のオルガなら、
          勝率は100%です」
 アズラエル「ふむ。それはいい。けど、教頭」
 サザーランド「はい?」
 アズラエル「進学校相手に料理で勝って、うちの生徒数が増えるのかね?」
 サザーランド「あ」
 アズラエル「君、やっぱり減給」


その4.第1ラウンド!(……元ネタ、分かるかな?)

 ミリアリア「同じ材料で、どれだけ凄い料理が作れるか、勝負です! それでは、調理開始!」
 オルガ「キラとかいったな。悪いが、お前に勝ち目は無い。伝説の料理人ゴロー・ユラ直伝の
      スーパークッキングを見せてやるぜ!」
 キラ「あ、どうも、お手柔らかに……」

 (調理、終了)

 ミリアリア「それでは、審査を開始します。なお審査員は、公平を期するため、両校とは関係の
        ない一般人の方々にお願いしています。本人たちのご希望により、お名前はご紹
        介できませんが、とある高校のツッコミ名人女子高生、なぜかゴミ捨て場に捨てら
        れていた美少女パソコン、そして、ちょっと世間知らずなところが可愛いと評判の
        某タコカフェの金髪看板娘さん・副業は光の戦士の三名でーす!」

 (結果、3対0でキラの圧勝)

 オルガ「そ、そんなバカな……。ゴローちゃ〜ん」(半泣きで退場)
 ラクス「愛の勝利ですわ。審査員の皆さん、ご協力ありがとうございました」


その5.第2ラウンド!(主人公をディアッカと考えれば合っているかな?)

 ミリアリア「三本勝負の第二戦は、SEED学園代表ディアッカ・エルスマン、ブルーコスモス代 
        表シャニ・アンドラスによるクイズ対決! ブルーコスモスのクイズ同好会会長、シ
        ャニ選手に対して、ディアッカ選手は予想以上の大健闘! 現在、七対七の同  
        点、これが最後の問題です!」
 シャニ「ったく、しぶといなあ。君……。さっさと終わってよ」
 ディアッカ「はっ、ミリィの前で無様なところ見せられるかよ。これで決めてやる!」
 ミリアリア「それでは、最後の問題です! 『ガンダムSEED』本編で、大切な人を失ったショッ
        クでコーディネイターを嫌うようになり、その結果、主人公を苦悩の淵に突き落とし
        て、戦いの道を歩む事を選ばせたガンダム史上に残る女性キャラ、一時はファン 
        の間で『二代目カテ公』と呼ばれた女の子は誰?」

 (ディアッカ席のランプが光る)

 ミリアリア「はい、ディアッカ選手!」
 ディアッカ「ミリアリア・ハウ!」

 (不正解のブザー音)

 ディアッカ「あれ?」

 (続いてシャニ席のランプが光る)

 ミリアリア「では、シャニ選手!」
 シャニ「フレイ・アルスター」
 ミリアリア「正解でーす! クイズ対決の勝者はシャニ選手! なお、健闘空しく敗れたディア 
        ッカ選手は、あとで体育館裏にまで来てください。とーっても素敵なプレゼントを差
        し上げますので」

 (眼が笑っていないミリィにディアッカ、ビビる)


その6.第3ラウンド!(アスラン怒る!)

 ミリアリア「さあ、一対一で迎えた最終戦、バスケットのフリースロー対決です。両校の代表は
        それぞれのバスケ部のエース、SEED学園からはアスラン・ザラ、ブルーコスモス 
        学園からはクロト・ブエルが登場します!」
 カガリ「アスラーン、頑張れよー! お前が勝てば、二対一で私たちの勝ちなんだからな!」
 アスラン『カガリ……。まったく、熱くなりやすい奴だ。こんなの、ただの遊びじゃないか。もっと
       気楽に…』
 クロト「ああん? 何だ、あのうるさい金髪女は? ふん、男みたいな格好をしやがって。服の
     センスも悪い上に品性のかけらもない、ガサツそうな女だ。あれは将来、嫁の貰い手 
     が無くて、嫁き遅れるタイプだな。クックククク……」
 アスラン「…………………」

 (試合後)

 カガリ「お前が勝ったのは嬉しいけど、アスラン、ちょっと熱くなりすぎだぞ。こんなの、ただの 
      お遊びじゃないか。まあ手を抜くよりはいいけど、あそこまで容赦しないと、逆に引いて
      しまうぞ」
 アスラン「ああ、そうだな。気を付けるよ」(苦笑)


その7.ブルーコスモス学園は給食制です

 サザーランド「負けましたね……」
 アズラエル「そうですねえ」
 オルガ「…………」
 シャニ「…………」
 クロト「……………」
 アズラエル「取りあえず、君たち三人は、一ヶ月間給食抜き」
 オルガ「そ、そんな!」
 シャニ「俺は勝ったのに……」
 クロト「が、学園長、それだけは、それだけは勘弁してください!」
 サザーランド「ええい、見苦しい! これは学園長命令だ。学園長の決定は、天地がひっくり 
          返っても、絶対に覆る事は無い!」
 アズラエル「サザーランド、君は半年間、減俸」
 サザーランド「!」

 (サザーランド教頭、アズラエルの足にしがみつき、減俸処分の撤回を求めるが、アズラエル
  は聞く耳持たず。哀れ、中間管理職)



ショート16.
家庭訪問

その1.マリュー先生、クライン邸に行く

 マリュー「さてと、まずはラクスさんの家ね……。でも、彼女の家って、学園長の家でもあるの 
       よね。ちょっと緊張するわ」

 (クライン邸に到着。玄関のインターホンを押す)

 キラ「は〜い。あ、ようこそ、ラミアス先生。お待ちしていました」
 マリュー「キラ君!? ど、どうして貴方がここにいるの?」
 キラ「今日はラクスとお菓子作りする約束だったんですよ。ラクスが、出来立てのお菓子で先 
     生をもてなしてあげたいって…あ、どうぞ。ラクスやシーゲルさんも待ってますよ。うちの
     両親もいますから、ついでに僕の家庭訪問もここで済ませてください。その方が先生も 
     楽でしょう?」
 マリュー「え、ええ……」

 (その後、クライン一家とヤマト一家のお茶会開始。マリューも楽しい一時を過ごした後、お菓
  子のお土産をもらってクライン邸を後にする)

 マリュー「あー、楽しかったわ。お菓子も美味しかったし。……………………あ。成績の話す 
       るの忘れてた」
 ラクス「作戦成功、ですわ」(ニッコリ)


その2.フラガ先生、アスハ家に行く

 ウズミ「フラガ君、あまり言いたくはないが、最近の君の勤務態度は…」
 フラガ「いえ、あの教頭先生、その件に関しては、その…」(汗ダラダラ)
 カガリ『これじゃあ、どっちが家庭訪問されているか分からないな……。まあ、フラガ先生の場
     合、自業自得だけど』


その3.フラガ先生、ザラ家に行く

 パトリック「フラガ君、あまり言いたくはないが、最近の君の勤務態度は…」
 フラガ「いえ、あの理事長、その件に関しては、その…」(汗ダラダラ)
 アスラン『汗などかいているが、眼は落ち着いているな。俺とカガリの家を最初の方に回した 
       のは、どうせ小言を言われるから、嫌な所はさっとと済ませようと思っての事だろう。
       フラガ先生はきっとショートケーキのイチゴは最後まで取っておくタイプだな』(来客用
       のショートケーキを食べながら)


その4.ナタル先生、アーガイル家、バスカーク家、ケーニッヒ家を訪れた後に

 ナタル「くっ……。どこも平和すぎて、ネタの種にはならん! これでは次回の賞の締め切りに
      間に合わん……!」(根本的に何かを間違えている)


その5.クルーゼ先生、アルスター家、ジュール家、アマルフィ家を訪れた後に

 クルーゼ「アルスター家は三丁目の『ケーキショップ・ドミニオン』のショートケーキ。あそこのケ
        ーキは値段は高いが職人の腕が悪くて、味は今ひとつのなのだがな。アルスター 
        家は意外と味音痴、と。ジュール家は五丁目の『クサナギ堂』の羊羹。あの店は老
        舗ののれんにあぐらをかいて、精進が足りん。ジュール家、名前で騙されるタイプ、
        と。アマルフィ家は『フルーツパーラー・メネラオス』のお持ち帰り用フルーツポンチ
        だったな。あそこは店構えは小さいが、いい仕事をする。アマルフィ家、なかなか侮
        りがたし、と。それから次は……」

 (出されたお菓子でその家の内情を判断するこの方法、意外と正確だったりする)



ショート17.
ラクス・クライン芸能界デビュー

その1.最初からこうすれば良かったのですわ

 (ラクスの特集記事が組まれているテレビ雑誌(五冊)をみんなで見ている)

 カガリ「ホントにデビューしたんだな……。なんか、知り合いがこういうのに載ってるのって、ち
      ょっと嬉しいような、恥ずかしいような気がするものだな」
 ミリアリア「そうね。でも、キラは何か言われてないの?」
 キラ「えっ?」
 ミリアリア「アイドルって、デビュー前に恋人がいたら事務所が手を回して別れさせられるって
        聞いたんだけど」
 キラ「いや、僕の方には何も…」
 ラクス「当然ですわ」
 他一同「ラクス!」
 ラクス「わたくしとキラを別れさせようなんて、そんな愚劣な行為をしようとする事務所など、こ 
      ちらからお断りですわ。ですが、世の中そんな事務所ばかりで、デビューが少し遅れて
      しまいました」
 カガリ「そうか、苦労したんだな。だが、デビューしたという事は、今の事務所はキラとの付き 
      合いをOKしてくれたんだな。理解のある事務所を見つける事が出来て、よかったじゃ
      ないか」
 フレイ「あれ? 今、ラクスが所属している事務所って、男女交際にはかなり厳しいところのは
      ずよ。よく認めてくれたわね?」
 ラクス「ええ、最初は反対されましたが、二回目に話し合った時は、皆さん許してくださいました
      わ。わたくしがキラとの交際をお願いしたら、『我々は決して貴方の邪魔をいたしませ 
      ん。どうぞご自由に』と」
 キラ「へえ。みんな、いい人たちなんだね」
 ラクス「ええ。これからはアイドルとしても、あの方たちの社長としても頑張りますわ」
 他一同「えっ?」


その2.動けるのか?

 サイ「それにしても、CD凄い売れてるよな。この分なら年末の紅白出場も夢じゃないかも?」
 キラ「そうだね。けど、ラクスが紅白か…」

 (なぜか全員、小○幸子ばりのド派手な衣装を着たラクスを想像してしまう)

 サイ「…………違和感が無いな」
 キラ「うん。というか、もの凄く似合っている気が…」(複雑な気分)


その3.友よ! 君も僕を裏切るのか!

 ニコル「でも、ラクスさんがデビューしてから、この学園の周りに芸能記者とか増えましたね」
 アスラン「他のプロダクションの連中も来てるみたいだぞ。この前、声をかけられた」
 フレイ「私も声かけられたわ。ファッションモデルやってみないかって」
 ミリアリア「やるの?」
 フレイ「断ったわ。演劇部の方が忙しいし」
 ミリィ「ちょっと勿体なくない?」
 フレイ「ミリィだって声かけられたけど、断ったじゃない」
 ミリアリア「私はアナウンサーになりたいの。アイドルは向いてないわ」
 サイ「俺も声かけられたけど、ちょっとな…」
 キラ「そうだね。芸能界って、僕たちには向いてないかも」
 アスラン「ああ。俺たちはラクスの応援に専念するか」
 カガリ「頑張りなよ、ラクス」
 トール「応援してるからね」
 ラクス「はい。皆さん、ありがとうございます」

 イザーク「貴様、なぜ俺を見る?」
 カズイ「…………」
 イザーク「言っておくが、俺も声をかけられたぞ」
 カズイ「!」
 イザーク「何だ、その世界の終わりを見たような驚き顔と落ち込み様は!」



ショート18.
vsブルーコスモス学園・ゲームセンター編

その1.遭遇

 オルガ「ったく、今日もかったるい授業だったなあ。気晴らしにゲーセンにでも行くか?」
 クロト「いいぜ! 今日こそハイスコア更新してやる!」
 シャニ「メンド臭いなあ……。まあ暇だからいいけど。あれ? あのゲーセンにいるのは…」
 クロト「お、SEED学園の連中じゃないか。あいつらもこのゲーセンに来てたのか。ちょうどい 
      い、この前の借りを返してやる!」
 オルガ「俺も手を貸すぜ。シャニ、お前はどうする?」
 シャニ「別にいいけどさあ、けど……」

 (SEED学園の一行は、キラ&ラクス、アスラン&カガリ、ディアッカ&ミリアリア、イザーク&フ
  レイのバカップル四人組。実に楽しそうである)

 シャニ「もう負けてる気がするのは、俺の気のせいかな?」
 オルガ&クロト「言うな!」


その2.爆走対決!(良い子の皆さんはキラの真似をしないように)

 オルガ「という訳で、俺たちと勝負してもらうぞ!」
 キラ「いや、いきなりそんな事言われても……」
 ラクス「あら、面白そうじゃないですか。やりましょう、キラ」
 カガリ「私も構わないぞ。ゲームなら男と女のハンデも無いしな」
 クロト「ほう、随分と腕に自信があるようだねえ。じゃあ、お前の相手は俺がしてやるよ。ゲー 
     ムはそっちが決めていいぜ」
 カガリ「そうか。じゃあ、レーシングゲームで勝負だ!」

 クロト「くっ……。この俺が完敗するとは……」
 カガリ「口ほどにも無かったな」
 アスラン「やったな、カガリ。けど、いつの間にこんなに上手くなったんだ? この前やった時は
       クラッシュばかりしてたのに」
 カガリ「あれから家で練習したからな」
 アスラン「家で? けど、このゲームはまだ、家庭用には移植されていないはず…」
 カガリ「キラが電脳部で作ってくれた。基盤からプログラムを抽出して……」
 アスラン「それは犯罪だ! キラ、お前…」
 他一同「えっ、そうだったの?」
 アスラン「って、おい!」


その3.ダンス対決!

 シャニ「次は僕がやるよ。種目はダンスゲーム。さあ、そっちは誰だい?」
 ラクス「わたくしがお相手いたしますわ」
 シャニ「へえ、現役芸能人の登場か。負けたら恥だね」
 ラクス「そうですわね。ですから、絶対に負けませんわ」(ニッコリ微笑む)

 アスラン「ラクスの勝ちか。まあ、当然だろうな。芸能人として厳しいダンスレッスンをしている
       んだから……ん? どうした、キラ?」
 キラ「……ラクスって、あんなに凄いダンス踊れたんだ」
 ミリィ「キラ、それはちょっとラクスに失礼よ」
 キラ「あ、いや、そういう意味じゃなくて、ちょっと意外というか、驚いているんだ。あんなアグレ
    ッシブなダンスを踊るラクスなんて、想像もしてなかったから」
 他一同「うん、それは確かに」


その4.最終対決!

 イザーク「これでこちらの二勝だな。俺が勝って、完全勝利を決めてやる!」
 オルガ「ふん、いい気になるなよ。格闘ゲームで勝負だ!」
 イザーク「望むところだ! 来い!」

 イザーク「肘打ち! 裏拳! 正拳! どりゃあああああ!」
 オルガ「こういうゴチャゴチャした戦いは好きじゃないんだよ。さっさとケリ着けさせてもらうぜ」
 イザーク「それはこっちのセリフだ! 行くぞ、ばぁぁぁぁぁく熱、ゴッド…」
 オルガ「させん! エンドオブワールド!」
 イザーク「ちいっ!」

 (店の外)
 キラ「フレイ、いいの? イザーク置いてけぼりにして」
 フレイ「いいのよ。あいつ、対戦ゲームやるといっつもああなるのよ。大声出して、恥ずかしい
      ったらありゃしない」
 アスラン「これからどうする?」
 ディアッカ「小腹も空いたし、どっかで軽く飯でも食おうぜ。あんたたちもどうだ?」
 クロト「いいのか? 俺たちは敵だぞ」
 ミリアリア「それはさっきまでの話でしょう? それに、食事は大勢の方が楽しいわよ」
 カガリ「その通りだ」
 シャニ「へえ、結構いい奴じゃん、あんたたち。OK、一緒に行くよ」
 キラ「ああ、それじゃあどこに行こうか?」
 ラクス「わたくしにお任せください。いいお店を知っていますわ」
 (和やかにその場を去る一同)

 (イザークとオルガの戦いは閉店間際まで続いたらしい……)



ショート19.
サザーランド教頭の苦悩
(55555キリ番をゲットした☆ゆーか☆さんからのリクエスト)

その1.大人の世界は厳しいのです

 アズラエル「SEED学園の生徒たちの優秀さは、教師たちの力に寄るところも大きい。そこで
         あちらの教師を我が学園にスカウトしようと思うのだが、どうかね?」
 サザーランド「はっ、なかなかの策かと思います」
 アズラエル「では、任せますよ」
 サザーランド「えっ? 私がやるんですか? ですが、こういうのは教頭の仕事ではないような
          気が…」
 アズラエル「上手くやれたら、先の失敗における君の減俸処分を取り消してあげましょう」
 サザーランド「全力でやらさせていただきます!」
 アズラエル「期待しているよ。あ、そうそう。必要経費は君の自己負担ね」
 サザーランド「…………」(そりゃあ、こういう裏仕事に学園の金を使う訳にはいかないのは分
         かるけど、だったら学園長の財布から出してくれよ。この人、身なりは立派だけ 
         ど、意外とセコいんだよなあと思いつつ、仕事はキッチリやるサザーランドであっ
         た)


その2.ブルーコスモス学園は男子校です

 (数日後)

 サザーランド「SEED学園の教師たちと極秘に接触した結果、2名の教師がこちらのスカウト
          に興味を示してくれました。ただいま交渉中ですが、良い返事がもらえるものと
          思います」
 アズラエル「ほう、それはそれは」
 サザーランド「一人はラウ・ル・クルーゼ。担当科目は語学。なぜか一日中、仮面を付けてい 
          ますが、学年主任も勤めており、教師としては優秀な男です」
 アズラエル「ふーん」
 サザーランド「もう一人はナタル・バジルール。担当科目は数学。能力面では問題ないのです
          が、ただ……」
 アズラエル「ただ?」
 サザーランド「うちが男子校だと聞いた時、妙に目を輝かせていたのが気になるのです」
 アズラエル「……………」


その3.だって、こんなの『教頭』の仕事じゃないよ

 (さらに数日後)

 サザーランド「申し訳ありません。スカウト失敗しました」
 アズラエル「なぜかね? 向こうにはいい条件を提示したはずだが」
 サザーランド「はあ、ですがクルーゼ教師の方はやたらと給料を吊り上げるし、バジルール教
          師も、夏と冬のとある期間には絶対に学校に来れないというので、折り合いが 
          つかず……」
 アズラエル「で、失敗した、と」
 サザーランド「……………」
 アズラエル「減棒期間、三ヶ月延長」
 サザーランド「!」(本気で転職を考えたけど、この人、放っておいたら何しでかすか分からな 
             いので、結局、教頭稼業を続けるしかないんだなあ。と、半ば絶望)



ショート20.
合コンしましょ、そうしましょ
(ymaさんのリクエスト)

その1.企画立案はやっぱりラクス

 クロト「あーあ、彼女が欲しいなあ」
 オルガ「何だ、やぶから棒に。……まあ、気持ちは分かるが」
 シャニ「男子校って、女っ気が無くてツマんないよね。転校しようかな?」
 オルガ「いくらなんでも、それで転校するというのはマズいぞ。合コンでガマンしようぜ」
 クロト「合コンって、当てがあるのか?」
 オルガ「ああ。というより、向こうから売り込んできた。何でも『出番の少ないキャラの救済企 
      画』だそうだ。彼氏ができれば出番も増えるだろうとな」
 シャニ「…………それって、俺たちも出番が少ない、って事なのかな」
 オルガ&クロト「……………ノーコメント」


その2.ご対面

 (レストラン・エターナルにて)

 アサギ「こ、こんにちは、アサギ・コードウェルです」
 ジュリ「ジュリ・ウー・ニェンです。は、はじめまして……」
 マユラ「マユラ・ラバッツです。どうぞ、よろしく…」
 オルガ「オルガ・サブナックだ」
 クロト「クロト・ブエル……です」
 シャニ「…………シャニ・アンドロス、じゃない、アンドラスだ」

 (物陰から見守る影二つ)

 ラクス「あらあら、皆さん随分と緊張しているみたいですね。微笑ましいですわ」
 キラ「ねえ、ラクス」
 ラクス「はい?」
 キラ「あの六人以外、お客さんがいないんだけど……」
 ラクス「ええ。皆様には静かに語り合っていただきたかったので」
 キラ「この合コンのためだけに、この店を貸切にしたの?」
 ラクス「はい。あ、お金の事ならご心配には及びませんわ。この店は父の持ち物ですから」
 キラ「…………」


その3.女性陣のコメント

 (化粧室にて)

 ジュリ「結構、いい人たちみたいね。ねえマユラ、あんたは誰がいい?」
 マユラ「私? うーん…………。オルガ君かな」
 ジュリ「あ、やっぱり。あんた、ああいう文学少年タイプが好きだもんね。アサギは? クロト君
      と盛り上がっていたみたいだけど」
 アサギ「うん、あの人、ゲームの話とか面白いから……。ジュリは?」
 ジュリ「私はシャニ君。なんか声がね、ビリッて来たのよ。あー、きっと歌とか上手いんだろうな
      あ……」(うっとり)
 アサギ&マユラ「……………………」
 ジュリ「どうして黙るのよ。けど、全員かち合わなくて良かったわ。それじゃあ、これからは個別
     に攻撃しましょう」
 アサギ「ええ、分かったわ」
 マユラ「全ては……」
 三人一緒に「私たちの出番を増やすために!」(結局それかい、という天からのツッコミ)


その4.男性陣のコメント

 (女性陣が化粧室に行っている間に)

 オルガ「なかなか可愛い子たちじゃないか。さすがSEED学園、レベルが高い」
 クロト「ああ。で、お前たちは誰が狙いだ?」
 シャニ「俺は、特にいないな。顔はいいけど、話が合わない」
 オルガ「贅沢な奴だな。それじゃあ俺はマユラちゃんを頂くか」
 クロト「頂くってお前、一日でそこまでやるつもりか?」
 オルガ「まあ出来ればな。その為の努力はする」
 クロト「恐ろしい男だな、お前は……。それじゃあ俺はアサギちゃんと仲良くさせてもらうか」
 シャニ「勝手にやれば? 俺は適当にやらせてもらうから」
 オルガ「……おい、シャニ」
 シャニ「何だよ?」
 オルガ「一つ確認したいんだがな」
 シャニ「ああ」
 オルガ「お前、そういう意味での『男子校生』じゃないよな?」
 シャニ「はあ?」


その5.カップル成立

 (エターナルの甲板で、一人涼むシャニ)

 シャニ「ふわあああああ……。ふん、オルガもクロトもがっつきやがって。気持ちは分かるけど
      下品なんだよ」
 ジュリ「あ、いたいた。シャニさん、こんな所で何してるんですか?」
 シャニ「別に。風に当たってただけだよ。お前こそ、こんな所に何しに来たんだ?」
 ジュリ「シャニさんを探しに来たんですよ。アサギもマユラも、オルガさんやクロトさんと仲良くし
      ちゃって、私一人じゃ寂しいから」
 シャニ「で、あまり者同士で仲良くしようって?」
 ジュリ「! そ、そんなつもりじゃ……!」
 シャニ「あー、まあいいよ。あんたの事は嫌いじゃないし。けど、俺なんかと一緒にいてもつま
      らないと思うけど」
 ジュリ「そうなんですか? 私はシャニさんと話をしてるだけで楽しいんですけど」
 シャニ「ふーん……。変わってるな、お前」
 ジュリ「あはは。よく言われます」
 シャニ「…………ふん」
 ジュリ「うふふ」

 (静かに、されど穏やかに時は流れる)



ショート21.
調理実習
(LOOKさんのリクエスト)

その1.ア・レ・キュイジーヌ!

 シモンズ(家庭科担当)「今日の課題は『ごはん』と『みそ汁』、『ダチョウのステーキ』に『エビグ
                ラタン』、そしてデザートに『マンゴープリン』です。各自、火の取り扱 
                いには充分注意してください」
 カガリ「……なあ。私たちはいつから料理の鉄人になったんだ?」
 フレイ「量も内容も、学校の調理実習の課題じゃないわね」
 ミリアリア「献立の組み合わせもメチャクチャだし」
 ラクス「というより、誰も『ダチョウのステーキ』にはツッコミませんのね」


その2.でも作ってしまいました

 カガリ「ホント、よく時間内に作れたもんだな。人間、やればできるものだ」
 ミリアリア「そうね。じゃあ試食しましょう」
 一同「いただきまーす!」
 フレイ「…………うん。ごはんは上手く炊けてるわね。みそ汁も美味しい」
 カガリ「ダチョウのステーキって、結構うまいな」
 ミリアリア「エビグラタンもいい出来だわ」
 ラクス「マンゴープリン、甘さ控えめで美味しいですわ」
 一同「…………」
 ラクス「一つ一つは美味しいのに、一緒に食べると、どうしてダメな味になるのでしょう?」
 カガリ「和洋折衷もほどほどに、って事だな」
 フレイ「そういう問題じゃない気がする」



ショート22.
災難でしたねえ
(SRXさんのリクエスト)

その1.運が悪かったな(どっちが?)

 (オーブ銀行にて)
 強盗A「よーし、全員、手を上げろ!」(銀行員にライフル銃を突きつける)
 強盗B「こちらの要求は分かってるな? 死にたくなかったら、金をよこせ!」
 銀行員「は、はい! た、ただいまお持ちします!」
 アスラン(たまたま貯金を下ろしに来ていた)「…………」
 キラ(たまたまアスランと一緒に来ていた)「アスラン、妙な事はしないでよ」
 アスラン「キラ、だが、こんな事を黙って見逃すのは…」
 キラ「気持ちは分かるよ。けど、落ち着いて。僕たちが下手に動けば、僕たちはともかく、他の
     人にまで危害が及ぶかもしれない」
 アスラン「…………」
 キラ「大丈夫、チャンスは必ずくるさ。その時はあいつらをギッタギタのボッコボコのメッタクソ
     のグッチャグチャの肉片にしてやろう(語尾にハートマーク)」
 アスラン「に、肉片……」(キラなら本当にやりそうだと、強盗たちの身を案じる)


その2.もしかして、種、弾けてます?

 強盗A(金をたっぷり奪い取り、嬉しそうに)「へっへっへ。よし、引き上げるぞ」
 強盗B「おう」

 (銀行から出るため、背を向けたその一瞬のスキをついて、キラとアスランが強襲)

 キラ「でやあっ!」
 アスラン「はあっ!」
 強盗A・B「ぐはあっ!」

 (強盗コンビ、あっさりノックダウン)

 アスラン「よしっ! ……って、ちょっと待て、キラ!」
 キラ「え?」
 アスラン「気絶している相手に、マウントポジションからの顔面殴りはやり過ぎだ。やめろ」
 キラ「うん。…………ちっ」
 アスラン「こっそり舌打ちするな」(こいつが一番怖い奴だと再確認)


その3.後になって思い返してみると……

 (後日、強盗の逮捕に協力したという事で、警察から表彰される二人。だが、表彰式にキラの
  姿は無し)

 警察署長「ん? お友達はどうしたのかね?」
 アスラン「過剰防衛未遂で、自己嫌悪中です」
 警察署長「………………?」



ショート23.
縁日の蜜月(登場人物は全員浴衣姿です)
(LOOKさん&ymaさんのリクエスト)

その1.キラ&ラクス ・ これだから金持ちは……

 (亜瑠手魅須〔あるてみす〕神社の夜祭りにて。……暴走族みたいな名前の神社だな)

 ラクス「これがお祭りですか。わたくし、初めてですわ」
 キラ「そう、楽しい?」
 ラクス「ええ、とても! あら、あれは何ですの? 大きな水槽に金魚さんたちがたくさん泳いで
      ますけど」
 キラ「あれは金魚すくいだよ。やってみる?」
 ラクス「金魚さんたちをお救いするのですか? ええ、やってみます」

 (数分後)

 ディアッカ「お、金魚すくいか。俺、ちょっと自信があるんだ。ミリィ、やっていかない?」
 ミリアリア「いいわね……って、金魚がいないじゃない。おじさん、金魚は?」
 店主「それが、ピンクの髪をした娘さんが、全部買ってたっんだ。『これで金魚さんたちをお救
     いしましたわ』とか言ってな。連れの男も『いい事をしたね、ラクス』とか言ってたよ。ま 
     あ俺は損してないからいいけど、とんでもないバカップルだな」
 ディアッカ&ミリアリア「……………」


その2.アスラン&カガリ ・ 私だけの特等席

 カガリ「うわあ、賑わってるなあ」
 アスラン「…………」(カガリの浴衣姿に見とれている)
 カガリ「? どうしたんだ、アスラン? ボーッとして」
 アスラン「あ、ああ、いや、何でもない。ん? おいカガリ、どこに行くんだ? そっちは山の方
       だぞ」
 カガリ「この高台の上からだと、花火がよく見えるんだ。ほら、急がないと、いい場所取られる
      ぞ!」
 アスラン「お、おい、そんなに急ぐと……」
 カガリ「うわっ!」(転んだ)
 アスラン「ほら、言わんこっちゃない。大丈夫か?」
 カガリ「あ、ああ、大丈夫…痛っ!」
 アスラン「! ケガをしたのか? 見せてみろ!」
 カガリ「だ、大丈夫、ちょっと足を捻っただけだ。こんなの大した事は…」(立ち上がろうとする 
      が、激痛が走る)
 アスラン「立てないのか? ……ほら、おぶされ」
 カガリ「! バ、バカ、そんな恥ずかしい事、出来るか!」
 アスラン「いいからおぶされ。花火、見れなくなるぞ」
 カガリ「うっ……」

 (顔を真っ赤にして、アスランの背におぶさるカガリ。そして、高台の頂上に到着)

 アスラン「着いたぞ、カガリ」
 カガリ「あ、ああ。もういいぞ、降ろしてくれ」
 アスラン「ダメだ」
 カガリ「えっ?」
 アスラン「立ってるだけでも痛いんだろう? 花火はこのまま見ろ」
 カガリ「アスラン……」
 アスラン「花火を見終わったら、病院に行くぞ。俺が付き添ってやる」
 カガリ「ああ……。ありがとう、アスラン」


その3.ディアッカ&ミリアリア ・ 俺の彼女は狙撃の才能ありません

 ディアッカ「トールがテニス部の合宿に行っている今がチャンスだ。今夜、一気にポイントを稼
        いでやるぜ!」
 ミリアリア「ディアッカ、何をぶつぶつ言ってるの?」
 ディアッカ「い、いや、別に。それよりミリィ、何か食べないか? 今日は俺がおごるぜ」
 ミリアリア「いいの?」
 ディアッカ「ああ、ちょっと臨時収入が入ったんだ。今日の俺はディアッカ・リッチマンだぜ!」
 ミリアリア「そうなの? じゃあ……」

 射的屋の店主「はーい、また全弾外れーー」
 ミリアリア「ああ、もう! おじさん、弾追加! ディアッカ、お金払って!」
 ディアッカ「あ、あのー、ミリアリアさん、もうその辺で……」
 ミリアリア「何か言った?」(眼が本気です)
 ディアッカ「何でもありません……」

 (結局、ディアッカの臨時収入は射的だけで全部消えました。二人の親密度、アップ……した
  のか?)


その4.イザーク&フレイ ・ 素直じゃないなあ

 イザーク「あ」
 フレイ「あ」
 イザーク「……何でお前がここにいるんだ」
 フレイ「何よ、私がお祭りに来ちゃ悪いの?」
 イザーク「誰も悪いとは言ってないだろう。一人で来たのか?」
 フレイ「途中までミリィと一緒だったけど、ディアッカに連れて行かれたわ」
 イザーク「ふん。……暇なのか?」
 フレイ「まあね。花火を見たら、さっさと帰るわ。ミリィの邪魔をするつもりは無いし」
 イザーク「花火か。ここの祭りの花火は名物だからな」
 フレイ「ええ。毎年、見ているわ」
 イザーク「俺もだ」
 フレイ「へえ、そうなんだ。じゃあ」
 イザーク「ああ」
 フレイ「……どうして付いて来るのよ」
 イザーク「お前が俺の前を歩いているんだろうが」
 フレイ「私は花火を見に行くんだけど」
 イザーク「奇遇だな。俺もそうだ」
 フレイ「……ストーカーみたいな真似はやめてよね」
 イザーク「誰が貴様などにストーカーなどするか。自意識過剰もほどぼとにしろ」
 フレイ「何よ!」
 イザーク「何だ」
 フレイ「ふん!」
 イザーク「ふん」

 (何だかんだ言っても、結局着かず離れずで歩く二人であった)


その5.ムウ&マリュー ・ お祭りは監視するものではなく、楽しむものです

 ムウ「やれやれ、見回りってのも楽じゃないなあ」
 マリュー「文句を言わない。こういうのも教師の大切な仕事よ」
 ムウ「分かってるって。けど、俺としては、プライベートでマリューと二人っきりになりたいんだけ
     どな。マリューだってそうだろう?」
 マリュー「そ、それは私だって……。けど、今は仕事中です。公私の区別はつけないと」
 ムウ「はいはいっと……。お、キラとラクス嬢じゃないか。相変わらず、仲がいいねえ」
 キラ「こんばんわ、先生」
 ラクス「こんばんわ、フラガ先生、ラミアス先生。見回りのお仕事ですか?」
 ムウ「そうなんだよ。まったく、みんなが遊んでいるのに俺たちはカヤの外なんだからな。やっ
     てらんないよ」
 マリュー「ムウ先生、だからそういう事を言っては…」
 ラクス「…………」
 キラ「…………」
 ムウ「ん? どうした?」
 キラ「お二人とも、浴衣着て、わた菓子やタコ焼き手に持ってる状態で言っても、説得力無い 
    です」
 ムウ&マリュー「あ」


その6.花火 ・ ガーネットさんを誘えば良かったなあ……(by鏡伝ニコル)

 (神社の裏の高台にて。無数の花火が空を彩る)

 アスラン「お、また上がったぞ」
 カガリ「た〜まやーっ!」
 ラクス「あら、その声はカガリさん?」
 カガリ「キラにラクス! お前たちも来ていたのか」
 キラ「うん。あれ、カガリどうしたの? アスランにおんぶされて…」
 アスラン「カガリがちょっと足を捻ったんだ」
 ラクス「まあ、大変。大丈夫ですの?」
 カガリ「大した事ないよ。花火を見終わったら、病院に行くから」
 ミリアリア「あ、みんな、来てたんだ」
 ディアッカ「よお」
 フレイ「あ、いたいた。ミリィーーー!」
 イザーク「何だ、みんないるのか。どいつもこいつも暇人だな」
 フレイ「あんたがそれ言う?」

 (集合するカップルたち。独特の雰囲気が流れている)

 サイ「…………」
 カズイ「…………」
 ニコル「…………声、かけ辛いですねえ」



ショート24・
臨海学校
(ごんぱちさんのリクエスト)

その1.農家の皆さんは大変でしょうね

 (夏の浜辺。全員、水着で集合)

 イザーク「夏だ! 海だ! 臨海学校だ! さあ、泳ぐぞ!」
 他一同「…………」
 イザーク「どうした、お前たち。せっかくの臨海学校なのに、なぜそんなに暗い?」
 キラ「イザーク、今の気温、何度か知ってる?」
 イザーク「知らん」
 キラ「22度だよ。寒くない?」
 イザーク「なぜ寒い? 夏は暑いものだ」
 キラ「………………」
 ミリィ「思い込みだけで冷夏も凌ぐなんて、ある意味凄いわね……」
 フレイ「バカなだけよ」


その2.南半球では日本と季節が逆です

 (ゴムボートに乗るキラとラクス)

 キラ「ラクス、寒くない?」
 ラクス「ちょっと冷えますけど、大丈夫です。日も出てきましたし」
 キラ「そうだね。暖かくなって良かった。寒い夏って嫌だもんね」
 ラクス「ええ。でも、この分だと今年の冬は暖かくなりそうですわね」
 キラ「そうかもね」
 ラクス「夏は寒くて、冬は暑い。オーストラリアみたいですわね」
 キラ「うん、そうだね」
 ラクス「わたくし、オーストラリアは好きですわ。日本がオーストラリアになるのでしょうか?」
 キラ「………………」


その3.カガリはあまり海に来た事がないそうです

 (海岸近くの磯の岩場にて)

 フレイ「もう、どうして海に来てまで、勉強だの課題の提出だの、しなくちゃいけないのかしら」
 ミリィ「フレイ、『臨海学校』の意味、分かってる…?」
 イザーク「生物の観察をしろと言っても、ロクなのがいないぞ」
 ニコル「フジツボぐらいしかいませんねえ」
 サイ「カニとか、貝とかいればいいんだけどな」
 アスラン「もっとよく探してみよう。それじゃあ、ディアッカはあっちの浜辺を……」
 カガリ「ん? おーい、アスラン! 珍しい虫を捕まえたぞ!」
 アスラン「虫? カガリ、今は虫じゃなくて磯の生物の観察を…って!」
 全員「!!!!!!!」
 カガリ「な、面白い虫だろ? すばしっこくて、捕まえるのにちょっと苦労したんだ。観察レポー
      トはこいつの事を書けば…って、おい! みんな、どうして逃げるんだ。おーい!」

 (カガリの手にあるのは、フナムシ。そう、あのどこの海岸にでもいる、ゴキブリとダンゴムシが
  合体したような生き物である。しかもカガリ、みんなにはフナムシの『腹側』を見せている)


その4.教師たちの夏

 ムウ「うーん、日が出てきたのはいいけど、まだちょっと弱いなあ……」
 バルトフェルド「そうだな。これでは、あまり日焼けが出来ん。アイシャにこんがり焼けた肌を見
           せたかったのに……」
 クルーゼ「あまり肌を焼きすぎると、健康に悪いぞ。何事もほどほどに、だ」
 ムウ「………あんたが言っても、説得力が無いぞ」
 バルトフェルド「同感だな」
 ナタル「三人とも、何を寛いでいるんですか! 私たちは遊びに来たのではないのですよ。も 
      っとしっかりしてください!」
 ムウ「はいはい、っと。やれやれ、バジルール先生は口やかましいなあ……」
 バルトフェルド「そう言うな。お仕事、お仕事」
 ナタル「まったく……。あ、クルーゼ先生」
 クルーゼ「何かね?」
 ナタル「海で泳ぐ時ぐらい、仮面をとった方が良いのでは?」
 クルーゼ「ふっ……。これは私のポリシーなのだよ。簡単には外せんな」
 ナタル「…………」
 クルーゼ「スペアも用意してある」
 ナタル「訊いてません」


その5.帰りのバスにて

 カガリ「あーあ、あんまり楽しめなかったなあ……」
 ニコル「寒くて泳げませんでしたからねえ」
 サイ「海岸で貝とかカニとか集めて、研究するだけだったからな」
 アスラン「でも、俺はそれなりに楽しめたぞ」
 キラ「あ、僕も」
 イザーク「お前たちに発言権は無い。お前たちはラクスやカガリと一緒なら、どこに行っても楽
       しいんだろうが」
 キラ&アスラン「うん」(即答)
 他一同「…………」
 カガリ「アスラン……」(赤面)
 ラクス「うふふ」


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