ファンタジー編 PHASE−07
ショート69.
預かり所の秘密

 シン「すんませーん、このアイテム、もう使わないけど捨てられないんで預かってください」
 店主「はいはい、毎度どーも」
 ルナマリア「いらないけど捨てる事が出来ないアイテムを預かってくれるなんて便利よね」
 ステラ「うん。タダだし」
 シン「そうなんだよなあ。お金を取らないなんて、あの店主さん、どうやって生活してるんだろ 
     う?」
 レイ「ああいう人間はしたたかなものだ。あまり気にしない方がいい」

 店主「えーと、こっちが『勇者様が使った物』で、こっちが『ヒロインが使った物』。で、こっちは 
     『仲間の美形キャラが使った物』と『サブヒロインが使った物』か。きちんと分けないとファ
     ンがうるさいからな。どうせもう使わないアイテムだし、こっそり売っても構わないだろ。 
     けどニセモノぐらいは作っておかないとな。それからあのレイって人への口止め料も…」

 レイ「関連グッズの売り上げはシリーズを続ける為の生命線だ。励んで売ってくれよ」
 シン「何か言ったか、レイ?」
 レイ「いや、別に」



ショート70.
ホビット村の危機

その1.ホビットって何?いう人の為に簡単に説明します

 ロウ「よお、あんたが勇者様かい?」
 キラ「君は?」
 ロウ「俺はホビット族のロウ・ギュール。俺の住んでいるホビットの村が魔王ガーネットの軍団 
     に占領されたんだ。何とかしたいけど、俺一人の力じゃ無理だ。協力してくれないか?」
 キラ「分かった、力を貸すよ。魔王の悪行を阻止するのが僕達の役目だからね」
 ロウ「ありがとう。あんた、いい奴だな」
 ムウ「ホビットか。見るのは初めてだが、噂どおり小さい種族なんだな」
 ラクス「そうですわね。二頭身でちょっと可愛らしいですわ」
 マリュー「分かりやすく言えば、SDサイズな人達よ」
 ムウ「本当に分かり易いな」
 ラクス「最近のSDは三頭身に成りつつありますけどね」


その2.みんな知っているけど、口にしないのがマナーというもの

 ムウ「けど、どうしてガーネットの軍はホビットの村を制圧したんだ?」
 マリュー「ホビットは手先が器用で優れた武器や防具を作っているわ。それを狙ったのかも」
 キラ「魔王軍の為の武器を作らせようとしているのか。そんな事、絶対にさせない!」
 ロウ「いや、俺も始めはそう思ったんだけどよ、どうも違うみたいなんだ?」
 ラクス「あら、違うのですか?」
 ロウ「ああ。ホビットの中でも子供や可愛い女の子ばかりさらっていくんだ。『可愛いキャラが好
     きなガーネット様に献上すればお喜びになるぞ!』って」
 キラ「…………」
 ロウ「なあ、魔王ガーネットってショタ」
 キラ「それ以上は言わない方がいいよ。死にたくなかったらね」
 ロウ「あ、ああ」
 ラクス「他人の欠点を口にしない。それが人付き合いのマナーというものですわ」
 ムウ「確かにそうだが、何か違う気がするぞ」


その3.閉じ込める前に気付けよ

 スティング「ちっ、久々の出番なのにつまらない仕事をさせやがって。けどこれであの女の機嫌
        を取れば、俺達も出世できる。アウル、牢に閉じ込めていたホビットどもを出せ。城
        まで連れて行くぞ!」
 アウル「了解。けど、こういう時に限って邪魔が入るんだよなあ」
 キラ「そのとおりだよ。さあ、ホビット達を解放するんだ」
 ムウ「魔王の手下に成り下がった人間か。けど、容赦はしないぜ!」
 スティング「ちっ、勇者どもか。だが俺達も強くなったんだ。返り討ちにして…」
 アウル「盛り上がっているところ悪いけどさあ、ホビットども、みんな逃げちゃったぜ」
 スティング「何だと!? 勇者どもの仕業か?」
 アウル「いや、あいつら鉄格子の間を潜り抜けて逃げてった。小さい体って便利だよなあ」
 スティング「人間サイズの牢に閉じ込めるからだ! このバカ、俺達も逃げるぞ!」


その4.資源は大切にしましょう

 ロウ「ありがとよ。あんた達のおかげで助かったぜ」
 マリュー「いや、私達、何もしてないんだけど」
 ムウ「言うなよ。余韻が台無しだ」
 ロウ「お礼に俺が作った剣をやるよ。ガーベラ・ストレートって言うんだ。こいつは斬れるぜ」
 キラ「ありがとう。大切に使わせてもらうよ」
 ロウ「そっちの狩人さんにはこれをやるよ。どんな物も貫くエンデュミオンの矢だ」
 ムウ「サンキュー。なるほど、確かにこれは強力そうだな」
 ロウ「一本だけしかないから大切に使ってくれよ。じゃあな!」
 ムウ「えっ? おい、ちょっと待て、一本だけじゃ気軽に使えないじゃないか、おい!」
 マリュー「いいじゃない。これからは矢を大切にする撃ち方をしなさい」
 ラクス「そんな撃ち方、ムウ様に出来るのでしょうか? 今までにも多くの矢を無駄にしてます 
      のに」
 キラ「何気にキツいね、ラクス。事実だけど」



ショート71.
三大魔王、危険な会合

その1.ダブルGは城から動けないので

 クルーゼ「これはこれは。ようこそ、我が主ダブルGの居城へ。歓迎いたしますよ、魔王メレア
       様に魔王ガーネット様」
 メレア「ああ。それにしても、この城は変わってないね。殺風景だし、異常に寒いし」
 クルーゼ「ダブルG様は余計な装飾を好まないので」
 ガーネット「芸術センスの無い奴ね。魔王としては失格だわ」
 ギアボルト「飾り好き過ぎるのもどうかと思いますよ。私達のお城なんて派手すぎて、まるでど 
        こかのランドのエレクトリッカルな行進じゃないですか」
 ノーフェイス「大変ですね。その点、メレア様の城は質素ですよ。わびさびの境地に達している
         と言ってもいいでしょう」
 クルーゼ「その割には、かなりの予算をつぎ込んでいるそうですが」
 メレア「真のわびさびを極めるには金がかかるんだよ」
 ノーフェィス「ええ、まったく。……どうして粘土細工みたいな茶碗があんなに高いのか、私には
         分かりませんね」
 ギアボルト「芸術なんてそんなものです。分かる人だけ分かればいいんですよ」


その2.魔王同盟、成立

 ダブルG「ようこそ、我が居城へ。二人とも、久しぶりだな」
 メレア「ああ。けどまさか、この三人が一同に会するなんてね」
 ガーネット「そうね。魔界では殺し合いをした仲だし、出来ればあんた達とは二度と会いたくな 
        かったわ」
 ダフルG「それは私もだよ。だが最近の勇者どもの暴虐は目に余るものがある。魔族同士で 
       争っている場合ではない。ここは力を合わせて、生意気な勇者どもを倒そうではない
       か」
 メレア「そうだね。僕は構わないよ」
 ガーネット「私もいいわよ。でも、一つだけ条件があるわ」
 ダブルG「何だ?」
 ガーネット「勇者パーティーの中でもハンサムな子や可愛い女の子の相手は私に任せてほしい
        の…って、ちょっとどこに行くのよ! まだ話は終わってないわよ!」
 ギアボルト「バカ魔王ですね」
 ニコル「自分の趣味に素直なガーネットさん、素敵です」
 アヤセ「こっちにもバカがいるわね。バカとバカでバカップルか。本気で転職しようかなあ」


その3.ツッコミを入れる気もしないようです

 ノーフェイス「会議は終わりましたか」
 メレア「ああ。同盟を組む事にしたよ。勇者達を何とかしないとヤバいからね」
 ノーフェイス「そうですね。それで、具体的にはどうする事になったのですか?」
 メレア「えーと、まずは同盟成立記念の祝賀パーティー。その後、記念グッズの製作会議、イベ
      ントのスケジュール調整、会場の下見とゲストへの出演交渉…」
 ノーフェイス「メレア様も皆様も、何か間違っている事に気付いてください」



ショート72.
目指せ、一攫千金

その1.魔王だからって好き勝手やれるわけじゃないんです

 ギアボルト「勇者達に懸賞金を懸けます。これで金に目のくらんだ人間どもも勇者達を襲う事 
        になるでしょう。モンスターだけでなく人間まで敵に回せば、勇者達も苦しくなるは 
        ずです」
 ガーネット「さすがギアちゃん、ナイスアイデア。懸賞金はいくら懸けるの?」
 ギアボルト「三人の勇者にはそれぞれ百万。仲間達はそれ以下ですが、かなりの高額賞金に
        するつもりです」
 ガーネット「そう。でもお金はどうするの? うちにそんな予算は…」
 ギアボルト「ご心配なく。メレアやダブルGの陣営にも協力してもらいます」
 ガーネット「同盟の効力がさっそく発揮されたわね。いいわよ、じゃんじゃんやっちゃいなさい」
 ギアボルト「分かりました。取り合えず、三大魔王のお小遣いを半分カット。生活費も大幅に削
        減します。ノーフェイスさんとクルーゼさんも同意してくれたので、早速行ないます」
 ガーネット「ま、待ってギアちゃん、今月は苦しいの、だからお小遣いカットはやめてーっ!」
 アヤセ「魔王のセリフじゃないわね。転職しようかなあ……」


その2.ああ中間管理職

 モンスター「アヤセ様、賞金目当てで出撃したスティング様とアウル様が返り討ちに合ったそう
        です。保険の適用を求めていますが…」
 アヤセ「あー、もう、どいつもこいつもバカばっかり! 保険なんて使わせない。治療費はあい 
      つ等の給料から差っ引くわ!」
 モンスター「厳しい職場だ。転職しようかな……」


その3.その頃、天空城に集まった勇者達は

 アスラン「魔王軍が俺達に賞金を懸けたらしい」
 シン「ああ、俺も賞金稼ぎに襲われた。クソッ、モンスターだけでも厄介なのに」
 キラ「守るべき人間と戦う事になるなんて、辛いよね……」
 アスラン「そうだな。殺さないようにはしているが、それもいつまで持つか。人殺しになる覚悟は
       しておいた方がいいだろうな」
 ディアッカ「アスラン達の賞金は百万か。だとしたらパーティー最強の俺の賞金額はもっと上だ
        ろうな。ふっ、人気者は辛いぜ」
 ムウ「まったくだ。出来れば可愛い女の子に狙われたいものだな」
 キラ「あの二人には違う意味で覚悟してもらいたいね」
 シン「うちのパーティーでもルナとステラが険悪なんですよ。レイが、どっちの賞金額が上かでヒ
     ロインの座を決まるだろうな、って余計な事を言ったせいで」
 アスラン「どこも大変だな。はっ、まさかこれが敵の狙いだったのか?」
 キラ「アスラン、それは考えすぎ」



ショート73.
第四の勇者、現る
(健さんのリクエスト)

その1.意外な再会

 メイリン「あ、お姉ちゃんだ。久しぶりー」
 ルナマリア「メイリン! あんた、どうしてこんな所にいるのよ」
 メイリン「色々あって、今はみんなで旅してるの。何でも、私は勇者なんだって」
 ルナマリア「あ、あんたが勇者!? そんな、まさか……」
 レイ「ルナマリア、ショックを受けるのは分かるが、今は戦闘中だ。早く何とかしないと…」
 シン「うわーっ!」
 ルナマリア「あ」
 レイ「遅かったか」
 ステラ「シン、お空を飛んでる。いいなあ」


その2.鏡伝アストレイキャラ、ファンタジー編に初登場

 レイ「シン、しっかりしろ。気絶している場合じゃないぞ」
 ステラ「モンスター、来るよ。手強そう」
 ルナマリア「そ、そんな、どうすれば……」
 メイリン「ここは私達に任せて。行くわよ、みんな!」
 影太郎(遊び人)「おお!」
 樹里(白魔道士)「わ、分かりました。頑張ります!」
 夏(剣士)「拙者の刃で悪を討つでござる!」
 レイ「頼もしい言葉だ。だが約一名、ツッコミを入れたい奴がいるんだが」
 メイリン「気持ちは分かるけど、戦闘が終わってからにして。ただでさえ足手まといなんだから」
 影太郎「お前らなあ、俺は鏡伝アストレイの主人公なんだぞ!」
 ルナマリア「MSに乗れないから、バトルシーンになると存在感無くなるくせに」
 影太郎「うっ」
 ルナマリア「強がってるけど、実は結構落ち込みやすいナイーブなキャラのくせに」
 影太郎「ううっ」
 ルナマリア「ゲストキャラや脇役より目立たない話も多いくせに」
 影太郎「ぐっ!」
 シン「ぐはっ!」
 ステラ「あ、気絶しているシンもダメージ受けた」
 レイ「器用な奴だな」


その3.メイリンパーティー、実はかなりレベル高い

 モンスター「グギャアアアアアアアッーーー!!」
 ルナマリア「あ、あんな強いモンスターをあっさりと……」
 レイ「パーティーの息が見事なまでに合っているな。遊び人の影太郎以外は」
 ステラ「うん。黒い仮面を付けた影太郎以外は強いね」
 ルナマリア「そうね。何でいるのか分からない影太郎って子以外は」
 影太郎「うわーん、ちくしょーっ!」
 ステラ「あ、泣いちゃった」
 メイリン「あんまりイジメないであげて。MSに乗れなくても主人公なんだから」
 レイ「何の話だ?」


その4.魔王の代理なんてやってたしねえ

 ルナマリア「それにしても、メイリンが勇者だなんて……」
 メイリン「お姉ちゃんが旅に出た後、王妃のタリア様が家に来たの。そして『貴方も勇者として 
       旅立ってください』って」
 ルナマリア「あっさりした旅立ちだったのね。でも、どうして王妃様はあんたを勇者にしたの?」
 メイリン「『腹黒で陰険なあの人が選んだ勇者はイマイチ信用できないから』だって」
 ルナマリア「王様と王妃様、仲が悪いのかな。気持ちは分かるけど」



ショート74.
第四の敵、現る?

 ギアボルト「賞金稼ぎによる攻撃ですが、上手くいっていません。人間が相手なので勇者達も 
        躊躇するかと思ったのですが、連中はまったく迷わず戦っています。特にキラパー
        ティーの勇者は、相手を生かさず殺さず絶妙な手加減で撃退しています」
 ガーネット「さすがね。やっぱり人間に勇者を倒すのは無理って事ね」
 メレア「じゃあ次は僕の作戦を……」
 ダブルG「待て。先程入った情報だが、魔界で異変が発生した。我々の代理として魔界の統治
       を任せていた部下どもが悉く倒されたそうだ」
 メレア「何だって! 本当なのか、ノーフェイス!?」
 ノーフェイス「こちらでも確認しました。我々の城も落とされています」
 ガーネット「あらら。という事は私の城も落ちてるわね。結構強い奴に任せてたのに」
 ギアボルト「何者の仕業でしょうか?」
 吟「それは私達の仕業ですよ、ミス・ギアボルト」
 一同「!」
 吟「どうも、魔王の皆さん。私の名は歌依 吟。この度、魔界の主となった御方からの使者でご
    ざいます。皆さんに我が主からのメッセージを伝えに来ました」
 ダブルG「メッセージ、だと?」
 吟「はい。『お前達にもう帰る場所は無い。魔界の領地と捕らえられた部下を助けたかったら、
    人間界を征服しろ。一番最初に人間界を征服した者の領地と部下を返してやる』だそうで
    す」
 ガーネット「ふーん、随分と姑息な事をするじゃない」
 メレア「僕達もナメられたものだね」
 ダブルG「貴様の主とやらに伝えろ。言われなくても人間界は手に入れるつもりだとな」
 ガーネット「そして、あんたも必ず倒す。部下と領地は大切にしておきなさい。傷一つでも付け 
        たら、タダじゃおかないから」
 吟「伝えましょう。それでは」
 メレア「行ったか。ふう、妙な事になっちゃったね」
 ダブルG「やるべき事は変わらん。勇者どもを倒して、この世界を征服する。それだけだ」
 ガーネット「そうね。でも、これからはちょっと本気を出そうかしら?」
 メレア「そうだね。たまには運動しないと。ふふふふふ……」
 ギアボルト「盛り上がっているところに水を差すようですが、このままだと魔界からの税収が入
         らず、私達の生活費が底を尽きます。どうしますか?」
 三大魔王「…………」
 ノーフェイス「節約生活の始まりですね。最大の敵は勇者ではなく、自らの欲望になりそうです」
 ギアボルト「最強最悪の敵ですね」



ショート75.
無敵!? ゼノンファミリー登場

その1.言葉のマナーを守りましょう

 ゼノン「勇者キラだな。私はゼノン・マグナルド。世界最強の賞金稼ぎにして、この世界の王に
      なる男だ。私と勝負しろ……って、おい、どこへ行く。私を無視するな!」
 エド「いや、自然な反応だと思いますよ。リアルで『世界の王になる男』なんて言う奴がいたら、
    俺だって逃げる」
 コートニー「確かに」
 ルーヴェ「フィクションだからこそ許される発言って多いから、アニメファンの人は言葉遣いに慎
       重になろう。ルーヴェお兄さんとの約束だよ」
 エド「お前からも逃げたくなってきたぞ」


その2.第五の…どっち?

 ゼノンたちはまわりこんだ!

 ゼノン「逃がさんぞ、勇者キラ! 私と勝負しろ!」
 キラ「僕達は人間と戦うつもりはありません。退いてください」
 ゼノン「そうはいかん。私の世界制覇の為には多額の軍資金が必要だからな」
 ラクス「あら、お金が欲しいのでしたら、わたくし達を襲うより、もっと効率のいい方法がありま 
      すわよ。魔王軍の城には世界各地から集めた宝物がたくさんあります。それを手に入
      れれば…」
 ゼノン「エド、コートニー、ルーヴェ、行くぞ。目指すは魔王の城だ」
 エド「うわっ、切り替え早っ!」
 コートニー「本編でも途中から性格が変わったからな」
 ルーヴェ「前半の冷酷なゼノン様もいいけど、後半の寛大なゼノン様も好きです」


その3.このパーティーの『苦労人』役が決まったようです

 ゼノン「魔王を倒す為には、強力な武器が必要だ。この店で買うぞ」
 エド「買うって、俺達、今、一文無しですよ。どうするんですか?」
 ゼノン「店主を脅して手に入れる。場合によっては力づくだ」
 エド「いや、それはやめた方がいいですよ。こういう場合、店主が異常に強くて返り討ちに合う 
    ってのがパターンですから」
 コートニー「その心配は無用だ。調査によるとこの武器屋の店主は本当に弱い。スライムにさ
        え苦戦する程らしい」
 エド「下調べしてるのかよ。その店主も、武器屋の店主としていいのかとは思うけど」
 ゼノン「行くぞ。おい、店主、私はゼノン…」
 ミナ「あ、いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
 ゼノン「…………」
 ミナ「あの、お客様?」
 ゼノン「お前が欲しい」
 ミナ「えっ?」
 エド「一目惚れかよ!」
 ミナ「あ、あの、えーと…………はい、私で良かったら」
 エド「OKするのかよ!」
 コートニー「一目会ったその日から」
 ルーヴェ「恋の花咲く事もある、か。いい話だ」
 エド「そうなのか? 俺の考えが古すぎるのか? 教えてくれ、ジェーン!」



ショート76.
ゼノンの仲間たち

その1.剣士エドワード

 エド「俺の流儀は二刀流。二振りの剣を使って最前線で戦う剣士だ。『切り裂きエド』の異名は
    伊達じゃないぜ!」
 ゼノン「頼りになる男だ。最初は錬金術士だと思ってスカウトしたんだがな」
 エド「そんな勘違いされたのは生まれて初めてですよ。確かにあのちっちゃい錬金術士と同じ 
    名前だけど…」
 ?「誰が豆粒みたいなドチビだーーーーーっ!!」
 エド「うわっ、時空や作品の枠を超えてツッコまれた!」
 ゼノン「貴重な経験だな」


その2.召喚士ルーヴェ

 ルーヴェ「強力な魔物を召喚してゼノン様をサポートします」
 ゼノン「ではドラゴンを呼べ。もしくは魔王クラスの敵だ。そいつらを倒して私はもっと強くなる」
 ルーヴェ「ま、魔王クラスって、そんなを召喚したら大変な事になりますよ! 世界の危機を増
       やすつもりですか!」
 ゼノン「心配するな。どうせダメ人間みたいな奴が一人増えるだけだ」
 ルーヴェ「それもそうですね。それじゃあ」
 コートニー「ルーヴェ、納得するな。ゼノン様も」
 ミナ「万年金欠パーティーにまでダメ呼ばわりされているなんて、魔王ってそんなものなの?」


その3.黒魔道士コートニー

 コートニー「攻撃魔法を使って、後方から味方を援護する。自分の仕事はきっちりやります」
 ゼノン「エドとは違う意味で頼りになる男だ」
 コートニー「恐れ入ります」
 ゼノン「…………」
 コートニー「…………」
 ゼノン「お前と二人だけだと話が続かないな」
 コートニー「恐れ入ります」
 ゼノン「…………」
 コートニー「…………」
 ゼノン「…………」
 コートニー「…………」
 ゼノン「…………」
 コートニー「…………」
 ゼノン「飽きた。帰る」
 コートニー「お気をつけて。と、この様に、あの方に振り回されないコツは、あの方のペースに 
        巻き込まれない事です。ミナさん、参考になりましたか?」
 ミナ「ええ。でも私には意味ありませんね。私はゼノンと二人でいるだけで幸せですから」
 コートニー「見事なまでのバカップルですね。お幸せに」


その4.武器屋の娘ミナ

 ミナ「あのー、付いて来て今更なんですけど、私って何か役に立てるんでしょうか? 剣も魔法
     も使えないし……」
 コートニー「ミナさんはゲームでいえばノンプレイヤーキャラです。パーティーにいると武器や防
        具が半額で買えるようになり、正体不明のアイテムが鑑定できるようになります」
 ミナ「武器屋の娘としての特殊能力ですね」
 コートニー「あと特定のキャラがクリティカルヒットを出しやすくなります。誰が特定のキャラなの
        かは言うまでもありませんね」
 ミナ「ええ、ゼノン、頑張ってー!」
 コートニー「実は敵キャラのダンやステファニーの攻撃力も上げてしまうんですよね。でも、これ
        は秘密にしておきましょう。ゼノン様を怒らせたくないし、人の恋路を邪魔して馬に
        蹴られたくはありませんから」



ショート77.
勇者メイリンの憂鬱

その1.『遊び人』の仕事をさせてくれ by影太郎

 メイリン「はあ……」
 夏「メイリン殿、どうかしたでござるか?」
 メイリン「うん、今更だけど、このパーティーってバランスが悪いなあと思って」
 夏「そんな事は無いでござるよ。確かに遊び人である影太郎殿は戦力としては役に立ってない
   でござるが、剣士である拙者と、白魔道士の樹里殿、そして勇者として剣も魔法も使えるメ
   イリン殿。バランスは取れているでござるよ」
 メイリン「ううん、戦力のバランスじゃないの。男女のバランスよ。男キャラがお子様な影太郎君
       しかいないなんて……。これじゃあ冒険の中のロマンスは期待できないわね。アスラ
       ンさんを狙ってみようかな?」
 夏「気持ちは分からなくもないでござるが、今は控えた方がいいと思うでござるよ」
 影太郎「二人とも、何やってるんだよ! うわっ、モンスターが来る!」
 樹里「あの二人は遊び人以上に遊んでいるわね。いいのかなあ」


その2.恋愛をするには相手が必要

 影太郎「ロマンスが期待できないのはこっちだよ。クソッ、この体じゃ何も出来ん。早く大人にな
       りたい!」
 樹里「私は気になっている人がいるんだけど、人間とホビットじゃ無理なのかな。ロウ……」
 夏「人の心を楽しくも辛くもさせる。恋は魔物でござるな」



ショート78.
七つの宝を探せ!

 キラ「この世界には神様が作ったといわれている七つの宝があるんだって。その宝を全て手に
    入れた人は、奇跡の力を使う事が出来るそうだよ」
 シン「七つの宝か。全部手に入れたら、どんな願いでも一つだけ叶えてくれるのかな?」
 アスラン「それは違う世界の宝だ。キラ、七つの宝についての情報は他には無いのか?」
 キラ「あるよ。宝は古代遺跡や不思議な場所に隠されていて、しかもモンスターに姿を変えてい
     るらしい。魔王でさえ迂闊に手が出せないくらい強いんだって」
 アスラン「じゃあ魔王達もまだ宝を手に入れてはいないんだな。神の宝を悪の手に渡すわけに
       はいかない。俺達で七つの宝を集めるんだ」
 シン「おー! でもこれって、泥棒とか遺跡荒らしとかにならないのかな?」
 アスラン「今更、何を言っているんだ。こんな事は勇者なら誰でもやっているぞ」
 キラ「どうしても気がとがめるなら、僕達はトレジャーハンターって事にしようよ」
 シン「あ、それならちょっとカッコいいかも。よーし、やるぞー!」
 アスラン「納得してくれたか。だが、本当にそれでいいのか?」



ショート79.
第一の宝

その1.特にラストダンジョンでは確率高し

 ルナマリア「ここが七つの宝の一つ、魔法のランプがある古代の城ね」
 ステラ「不気味なお城……。ステラ、ちょっと怖い」
 レイ「城の中に入ったが、誰もいないな。モンスターもいないぞ」
 シン「そうだな。ちょっと拍子抜け」
 ルナマリア「その方がいいわよ。宝は強いモンスターになっているんでしょ? だったら体力を 
        温存しましょう」
 レイ「ダンジョン捜索の基本だな。だが……」

 モンスターがあらわれた!

 シン「あ、出た」
 ルナマリア「戦って体力を減らしたくないわ。逃げるのよ!」

 しかし、シンたちはまわりこまれた!

 ルナマリア「あー、もう! どうしてこういう時に限って、よく回り込まれるのよ!」
 レイ「世界の法則の一つだ。我慢しろ」


その2.ザ・アラビア

 ステラ「シン、あそこに何かある」
 シン「あれは…………ランプだ! あれが七つの宝の一つだな。でも変だ、凄い力を感じる」
 ルナマリア「シン、下がって! ランプに火が灯って、何か出て来る!」
 レイ「宝が変化したモンスターか。さて、どれほどの強さなのか」
 シン「油断するな! みんな、行くぞ!」

 ジンジンがあらわれた!

 ルナマリア「……え? 何、このモンスターの名前」
 レイ「ジンのジンという意味らしいな。MSのジンをモデルにした、アラビアの魔物のジン風のモ
     ンスターという事だろう」
 ルナマリア「ややこしいわね。って言うか、MSのジンの方がモンスターのジンから名前を取っ 
         たんでしょ? こんな事しちゃっていいの?」
 レイ「著作権でもめるかもしれんな。裁判になったらややこしくなりそうだ」
 シン「おーい、お前ら、著作権の事を心配する前に戦ってくれー」
 ステラ「ふわ……。ステラ、眠い」


その3.火の用心、灯の用心

 ジンジン「ガーッ!」
 ルナマリア「きゃあ!」
 レイ「む、こいつ、強いな」
 シン「クソッ、どうなってるんだ! こっちの攻撃はすり抜けて当たらないのに、あいつの攻撃は
     バシバシ当たるなんて反則だろ!」
 ステラ「魔法も効かない。煙みたいにすり抜けられて、火も氷も風も当たらない……」
 レイ「こちらに攻撃する際は一瞬だけだが実体化している。奴を倒す方法は一つしかない。俺
    達に攻撃する為、実体化したところをカウンター攻撃で倒すんだ」
 ルナマリア「危険だわ! タイミングを間違えたら一方的にやられるわよ!」
 レイ「他に方法は無い。俺が行く。シン達は下がって、攻撃のタイミングを見極めろ」
 シン「レイ……。分かった、俺達に任せろ!」
 レイ「ああ、頼んだぞ」
 ステラ「あ、ランプの灯が点けっぱなし。火はちゃんと消さないとダメ。ステラ、お水をかけて消
      すの。えいっ」
 ジンジン「グギャアアアアアアアアアアアアッ!!」
 ステラ「あ。モンスターも消えていく」

 ちからのみなもとをうしなったジンジンはきえさった! ジンジンをたおした!

 レイ「…………」
 ステラ「レイ、顔が真っ赤。怒ってるの?」
 レイ「いや、今になって思えば、かなり恥ずかしいやり取りをしていたな、と思っただけだ」
 ステラ「?」

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